活発な梅雨前線の影響で、2日夜から静岡県や関東南部を中心に発達した雨雲が流れ込み、記録的な大雨となった静岡県熱海市では土石流の被害が発生しました。雨はいったん弱まっていますが、これまでの雨で地盤が緩んでいるところがあり、引き続き土砂災害に厳重な警戒が必要です。

静岡 熱海 土石流による被害発生

気象庁によりますと、活発な梅雨前線の影響で、2日夜から静岡県や関東南部を中心に発達した雨雲が流れ込んで激しい雨や強い雨が降り続き、各地で7月1か月の雨量を上回る記録的な大雨となりました。
このうち静岡県熱海市網代では、3日昼すぎまでの48時間に、平年の7月1か月の雨量を上回る300ミリを超える雨が降り、同じ熱海市の伊豆山では土石流の被害が発生しました。

大雨地域引き続き厳重警戒

これまでの雨で、静岡県と神奈川県、それに千葉県では、土砂災害の危険性が非常に高まり、「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があります。雨はいったん弱まっていますが、これらの地域では地盤が緩んでいるところがあり、崖や山の斜面、川の近くなど危険な場所にいる方は、安全な場所で過ごすようにしてください。

4日以降も大雨に警戒

一方、4日から5日にかけて梅雨前線が北上するため、西日本や東日本の日本海側を中心に大気の状態が不安定になり、雷を伴って激しい雨が降るおそれがあります。

4日夕方までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで
▽東海で120ミリ、
▽関東甲信と九州北部で100ミリで、
その後、
5日夕方までの24時間には
▽九州北部で100ミリから200ミリ、
▽北陸、東海、中国地方で100ミリから150ミリ、
▽関東甲信と近畿で50ミリから100ミリと予想されています。

気象庁は、土砂災害に厳重に警戒するとともに、低い土地の浸水や川の増水に警戒するよう呼びかけています。

来週にかけても各地で大雨となるおそれがあります。今後の気象情報にを確認し、引き続き早めの備えを進めて下さい。

政府 官邸で関係閣僚会議 へ

政府関係者によりますと、この大雨を受けて、政府は3日夕方、総理大臣官邸で、関係閣僚会議を開くということです。

各地の被害状況などを確認し、今後の対応を協議するものとみられます。

雨やんで土砂災害 過去には

過去には雨がやんでから土砂災害が発生して犠牲者が出たり、同じ地域で繰り返し発生したケースもあります。

平成9年(1997年)鹿児島県出水市の針原地区で21人が死亡した大規模な土石流は、雨がやんでおよそ4時間後突然、起きました。

亡くなった人の中には、雨のあいだは避難していたものの、やんだため自宅に戻っていた人もいました。

また、平成18年(2006年)には長野県辰野町の中村地区で雨のピークからおよそ7時間後、小康状態の中で斜面が崩れ1人が犠牲になりました。

さらに、2018年(平成30年)の西日本豪雨の際には、天候が回復して復旧作業が進む中で、広島県府中町を流れる榎川の上流で土石流が発生し、住宅に土砂が流れ込みました。

同じ地域で繰り返し起こることも

土石流は一度だけでなく、おなじ場所で繰り返し発生することもあります。

平成27年(2015年)鹿児島県垂水市の深港川では、断続的に降った雨で2か月の間に5回土石流が発生しています。

雨が弱まったりやんだりしたあとでも油断せず、自治体の避難情報が出ている間は、避難を続けてください。