今月、鹿児島県奄美市の海岸に長さが3メートル近くもある金属の板が流れ着いているのが見つかりました。
この板について三菱重工業は、過去に鹿児島県の種子島から打ち上げられたロケットの部品とみられるとして、今後、回収する方針です。
奄美市や鹿児島県によりますと、今月6日、奄美市住用町の青久海岸に、大きな金属の板のようなものが漂着しているという情報が地元の住民から寄せられました。
市と県の担当者が現地で確認したところ、流れ着いたのは、厚さが4センチほどの板状の金属で、長さはおよそ2.8メートルありました。
表面にはアルファベットや数字などが書かれているほか、その裏側には配線のようなものがついていました。
これについて種子島でロケットの打ち上げを実施している三菱重工業はNHKの取材に対して、表面に書かれた文字などから日本の主力ロケットの「H2A」の部品の一部とみられると明らかにしました。
また、形状からロケットの先端に搭載されるフェアリングと呼ばれる人工衛星を覆うカバーとみられるということです。
人工衛星の打ち上げに際しては、打ち上げ後、高度100キロ以上の宇宙空間でフェアリングが2つに分かれ、ロケットから切り離されます。
三菱重工業によりますと、フェアリングは燃え尽きずに太平洋上に落下するため、海上保安庁などの関係機関にあらかじめ、落下が予想される海域を連絡し、船が近づかないよう呼びかけてもらうとともに、搭載されたセンサーをもとに、専用の船で回収しています。
しかし、落下の衝撃などで部品が壊れて一部が漂流することがあり、今回もそうした形で漂流した可能性があるということです。
三菱重工業は「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と話していて、今後、確認をとったうえで回収する方針です。
奄美市の担当者は「ロケットの部品だとしたら興味深い。4月に台風が発生したが、その時に流れ着いたのかもしれない。回収されるなら協力したい」と話しています。