カナダでアジア系の人々への差別的な行為や暴力が相次いでいることを受けて、現地に駐在する日本の大使がカナダ政府に対し対策の強化を求める申し入れを行いました。

カナダでは新型コロナウイルスの感染が拡大した去年の春以降、西海岸のバンクーバーを中心にアジア系の人々への差別的な行為や暴力が目立つようになっています。

こうした状況を受けて、首都オタワに駐在する川村泰久大使は29日、カナダ政府で人権問題を担当するギルボー遺産相とオンラインで会談し、アジア系の人々に対するヘイトクライムへの対策の強化を求める申し入れを行いました。

この中で川村大使は「ヘイトクライム対策を強化することにより、在留邦人の安全・安心な生活が守られるようお願いしたい」と述べたということです。

これに対しギルボー遺産相は「カナダ政府としてもヘイトクライムの撲滅のためにこれからも積極的に取り組んでいく」と応じたということです。

中国系カナダ人の団体がカナダ政府の支援を受けてまとめた調査によりますと、ことし2月末までのおよそ1年間に確認されたアジア系の人々に対する差別的な言動や暴力は1150件で、このうち84%は中国、韓国、日本など東アジアの人々が標的になっていたということです。