JR渋谷駅の地下に大雨による雨水を一時的にためる新たな施設が完成しました。局地的な非常に激しい雨に備える施設で、地下街の浸水被害を軽減することができると期待されています。
施設は再開発が進むJR渋谷駅の東口広場の地下に作られ、19日、その内部が報道陣に公開されました。
内部に至る階段を降りていくと、地表から25メートルのところにプールのような形をした貯留池と呼ばれる施設があります。
水をためる部分の大きさは、長さ45m、幅22m、深さ7m、およそ4000トンの雨水をためることができます。
施設を管理する東京都下水道局によりますと、渋谷駅周辺は1時間に50ミリの雨を流すことができる下水管が整備されていますが、それを超えた場合でも、1時間に75ミリまでは一時的にこの施設に流し込んでためることができるということです。
施設がカバーする範囲は、渋谷駅の東側、青山通りや宮益坂周辺の27ヘクタールと限定的ですが、渋谷駅の地下街への浸水を軽減する効果があるということです。
東京都下水道局の菅野建城課長は「近年は1時間に75ミリを超える大雨が増えていて、施設が完成したからといって、どんな事態にも対応できるわけではない。ハードとソフト両面で都市部の浸水対策を進めていきたい」と話しています。
渋谷駅は道玄坂や宮益坂などの坂の下にあり、これまでも大雨の際に地下街の浸水被害が相次ぎ、対策が課題となっていました。
平成11年8月には、東京メトロ半蔵門線の駅構内に大量の水が流れ込んだほか、平成27年7月にも東急東横線の改札が浸水ました。
こうした被害を受け、ハチ公口などがある渋谷駅の西口側には、平成18年に、今回と同じ規模の4000トンの雨水を一時的にためることができる下水管の一種で直径2.6メートル、全長760メートル余りの貯水施設が整備されるなど、浸水対策が進められています。
都市部の浸水被害を防ごうと、地下に雨水をためる施設の整備が近年、全国各地で進んでいます。
このうち東京では、今回、渋谷駅に整備された貯留池が23区内で58か所目です。
ためることのできる水の量は、施設によってさまざまですが、東京都下水道局によりますと、58の施設で合わせておよそ60万トン、学校のプールで2000杯分に相当する雨水をためることが可能だということです。