2020年7月23日 12時41分
全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、ALSの女性患者の依頼を受け、京都市の自宅に出向いて薬物を投与し、殺害した疑いがあるとして、警察が宮城県と東京の医師2人を嘱託殺人の疑いで逮捕したことが捜査関係者への取材で分かりました。女性は周囲に「安楽死させてほしい」と話していたということで、警察は医師との関わりやいきさつなどを調べることにしています。
逮捕されたのは、いずれも医師で宮城県名取市で開業している大久保愉一容疑者(42)と東京 港区に住む山本直樹容疑者(43)の2人です。
捜査関係者によりますと、去年11月、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、ALS=筋萎縮性側索硬化症を患った51歳の女性が、京都市の自宅で容体が急変し、搬送先の病院で死亡しました。
病院で詳しく調べた結果、体内からふだん服用していない薬物が見つかったということです。
女性は周囲に「安楽死させてほしい」と話していて、警察が捜査を進めた結果、当日、自宅に、主治医ではない大久保医師と山本医師が訪れていたことが防犯カメラの映像などから分かったということです。
警察は2人が女性の依頼を受け、自宅で薬物を投与し殺害した疑いがあるとして、23日嘱託殺人の疑いで逮捕し、これまでの関わりやいきさつなどを調べることにしています。
医師が患者の死期を早める行為をめぐっては、末期がんなどの患者に薬物を投与し、有罪となったケースはありましたが、死期が迫っていない難病の患者の依頼に基づいて主治医でない医師が殺害したとして逮捕されるのは極めて異例です。