月のクレーター 約8億年前に多くできたか 小惑星破片降り注ぎ | 親父と息子の口喧嘩

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月のクレーター 約8億年前に多くできたか 小惑星破片降り注ぎ

 およそ8億年前、月に大量の小惑星の破片が降り注いで同じ時期に多くのクレーターができたとみられるという研究成果を、大阪大学などのグループが発表しました。
月がいまの姿になった過程を巡る新たな見解として注目されています。

これは大阪大学大学院理学研究科の寺田健太郎教授らのグループがイギリスの科学雑誌ネイチャーコミュニケーションズに発表しました。


グループは、日本の月探査衛星「かぐや」が撮影した月の写真から、直径20キロ以上の特に大きなクレーター周辺の地表の状態を解析し、クレーターができた年代を計算しました。

その結果、59個のクレーターのうち、17個がおよそ8億年前の同じ時期にできたとみられることがわかりました。

多くのクレーターが同じ時期にできたのは小惑星の破片がシャワーのように一度に降り注いだためだと考えられるとしています。

月のクレーターは、小惑星やその破片が一定の頻度で衝突してできたというのがこれまでの定説で、今回の研究成果は、月がいまの姿になった過程を巡る新たな見解として注目されています。

さらに、破片の元となる小惑星を位置関係などから推測すると、小惑星探査機「はやぶさ2」が探査した小惑星「リュウグウ」と同じグループと見られることも分かったということです。

寺田教授は小惑星の破片は地球にも大量に降り注ぎ、このとき、生命の多様化に大きく関わるリンが地球にもたらされた可能性もあると指摘していて、「月の歴史に加えて、8億年前の地球環境の変動にも新たな提案ができる」と話しています。

降り注いだ小惑星の破片 元は「リュウグウ」と同じか

寺田教授のグループは、およそ8億年前に月に降り注いだ破片の元となる小惑星を探る分析も行い、小惑星探査機「はやぶさ2」が探査した「リュウグウ」と、元となる小惑星が同じだと考えられることも分かったということです。

小惑星は、宇宙空間でバラバラになると、徐々にほかの天体の重力の影響で軌道が乱されて、散らばっていきます。

散らばった破片の固まりの大きさや位置関係から逆算すると、元となる小惑星がいつ砕けたのか導き出すことができます。

研究グループは、過去のさまざまな研究データを元に、およそ8億年前に砕けた元となる小惑星を3つに絞り込みました。

月に残っているクレーターの大きさなどからさらに条件を絞り込み、一連の小惑星の破片の元となる天体は「オイラリア」という小惑星だと結論づけたということです。

砕けた「オイラリア」の破片の一つは「はやぶさ2」が探査した「リュウグウ」と考えられているということで、ことし12月に地球に届くカプセルに入ったとみられる「リュウグウ」の砂などを分析することで、月との関連がさらに解明できると期待されるとしています。

研究グループの1人で、東京大学大学院理学系研究科の諸田智克准教授は「『かぐや』も『はやぶさ2』も日本の探査機で、この2つをつなげる研究ができたのは感慨深い」と話しています。

地球の生命進化の過程 解明にも

寺田教授のグループは、今回の研究成果をもとに、地球の生命が進化した過程についても、新たな考え方を提案しています。

そのカギとなるのが降り注いだ大量の小惑星の破片が地球にもたらしたとみられる「リン」です。

リンは、地球上の生命が多様化するのに重要な役割と果たしたとされる物質です。

グループによりますと、これまでのほかの研究では、8億年前に地球上のリンの量が急増したとされてきました。

リンが急増した理由ははっきりしていませんが、その後、およそ5億4000万年前に地球は生命が多様化したカンブリア紀を迎えました。

グループは、今回の研究で明らかにした、地球に降り注いだ小惑星の破片には、いまの地球の海洋に存在するリンの10倍の量が含まれていたと見られるとしています。

寺田教授は「これまで、リンが増えた理由は火山活動や地殻変動の影響が指摘されてきたが、地球外から降ってきたという形で説明できるかもしれない。地球科学分野の研究の進展に期待したい」と話しています。