熊本県などで甚大な被害となった今月4日の記録的な豪雨では、九州に向かって流れ込んだ水蒸気の量がおととしの西日本豪雨に匹敵していたことが専門家の推計でわかりました。前線は今週いっぱいは日本付近に停滞し、水蒸気の流入も続いているため、専門家は「まだしばらくは大雨に警戒が必要だ」と指摘しています。

気象のメカニズムに詳しい名古屋大学の坪木和久教授は気象庁のデータなどを基に、停滞する前線に向かってどのくらいの量の水蒸気が流れ込んだのか推計しました。

その結果、熊本県で記録的な豪雨となった今月4日には、インド洋や南シナ海から流れ込んだ水蒸気の量が1秒当たり50万~60万トンに達し、おととしの西日本豪雨に匹敵するとみられることがわかりました。

大量の水蒸気が流れ込む状況はその後も変わっておらず、前線付近では大雨となりやすい状態が続いていると指摘しています。

また、日本付近に前線が長期間停滞している原因について坪木教授は、フィリピン周辺海域の上昇気流が例年より弱く、梅雨前線を北へ押し上げる「太平洋高気圧」の勢力が強まらないためだとしています。

前線は今週いっぱい日本付近に停滞 警戒必要
前線は今週いっぱい日本付近に停滞 警戒必要

坪木教授は「今週いっぱいは太平洋高気圧の勢力が強まる要素が見当たらず、前線が停滞する可能性がある。大量の水蒸気の流れ込みは続いていて、大雨となりやすい状態なので、もうしばらくは警戒が必要だ」と話しています。