米 抗議デモ 高齢男性突き飛ばしケガさせたとして警察官を訴追

 今月4日にニューヨーク州の抗議デモの現場で、70代の男性が警察官に突き飛ばされ、大けがをした問題で、司法当局は6日、職務停止になっていた警察官2人を暴行の疑いで訴追しました。

この問題は、ニューヨーク州北部のバファロー市の中心部で4日、抗議デモの警戒に当たっていた警察官2人が、歩み寄ってきたデモに参加する75歳の白人男性を手で強く突き、男性は後頭部から倒れ、頭に大けがを負ったものです。

警察官2人は、倒れている男性の横をそのまま通り過ぎ、その一部始終を撮影した映像がソーシャルメディアなどを通じて広がり、批判の声が上がっていました。

2人は直ちに職務停止となっていましたが6日、市の司法当局は2人を暴行の疑いで訴追しました。

ニューヨーク州のクオモ知事は6日の記者会見で、「映像を見るかぎり刑事責任があると思う」という認識を示したうえで、「警察官は職務を遂行しなければならないが、乱用する権限はない」と述べて、警察に慎重な対応を求めました。

一方、警察官の間では反発が広がっていて、2人が職務停止になったあと所属部署の大半に当たる57人の警察官が職務を放棄し、警察官の組合トップも「2人は職務を遂行しただけだ」と擁護する声明を発表しました。

また、2人が出廷した裁判所前には、2人の行動を支持する警察官や市民が集まり、訴追に抗議しました。

アメリカメディアは、大けがをした男性は入院中で深刻な状態にあると伝えています。

ミネソタ州で黒人男性が死亡した事件を受けて抗議デモが全米で続く中、警察官がデモ参加者に過剰ともとれる対応をして問題になるケースが相次ぐ一方、警察官がナイフで刺されたり銃で撃たれたりするケースも報告されていて、警察の対応の在り方が改めて議論になっています。