IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長は、イギリスの公共放送、BBCのインタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染拡大が収束せず、来年、東京オリンピックの開催ができない場合は、大会の中止もやむをえないという認識を示しました。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、東京オリンピックは1年延期され、来年7月23日に開幕する予定です。

イギリスの公共放送、BBCは20日、IOCのバッハ会長との単独インタビューをホームページに掲載し、この中で、バッハ会長は安倍総理大臣との会談で、東京オリンピックを来年に延期することが最後の選択肢だと伝えられたことを明らかにしました。

これについて、バッハ会長は「率直に言って、その意見を理解できる。3000人から5000人もの大会組織委員会の職員たちを継続して雇い続けることは不可能だ」と述べました。

また、「スポーツの国際大会の日程を毎年変更することはできないし、選手たちを先の見えない状況に置いておくわけにはいかない」などと述べ、感染拡大が収束せず、来年、東京オリンピックの開催ができない場合は中止もやむをえないという認識を示しました。

そのうえで、来年の開催に向けて準備を進めていく考えを強調し「私たちは大会での感染防止対策などさまざまなシナリオに備える必要があるし、そのすべてを検討している。来年の7月23日に世界がどのようになっているか、明確な見解が得られたら適切な決定を下す」と述べました。

大会組織委 武藤事務総長「コメントは控える」

IOCのバッハ会長の発言について、大会組織委員会の武藤事務総長はオンラインで報道陣の取材に応じ「直接、発言を伺ったわけではないので、コメントは控えたい」としました。
そのうえで、組織委員会とIOCとの間で来年夏に開催できない場合に中止という共通認識があるのかという質問に対し、「私はそういう共通認識があるとは理解していない」と述べました。

また、新型コロナウイルスの感染を防ぐ対策として無観客で実施する可能性について「大会まで、まだ1年以上ある現時点で、そのような議論をするには時期が早すぎると考えている」と述べました。

一方、バッハ会長がBBCのインタビューの中で、安倍総理大臣から東京オリンピックを来年に延期することが最後の選択肢だと伝えられたと明かしたことについては、「3月の電話会談で最後の選択肢ということばを使ったことは、記憶にあるかぎりでは、ない」と否定しました。