新型コロナウイルスの治療効果が期待されている「アビガン」の原料の生産が今月16日から新潟県の工場で始まります。中国からの輸入に頼っている原料の国内生産で、アビガンの安定した増産を目指します。

日本の製薬会社が開発したインフルエンザの薬 アビガンは新型コロナウイルスの治療効果が期待され、政府は今年度内に200万人分の備蓄を目指しています。

ただ増産には中国からの輸入に頼っている原料の安定調達が課題になっていました。

このため、東京に本社がある化学メーカー「デンカ」が、原料となる有機化合物「マロン酸ジエチル」を今月16日から新潟県糸魚川市の工場で生産することになりました。

デンカはこの原料を国内で製造できる唯一のメーカーですが、3年前から工場の生産設備を休止していました。会社は、原料から国内で生産しアビガンを安定して増産する体制をつくるため、国の要請を受けて再開の準備を進めてきました。

来月中に200万人分のアビガンの原料を出荷する予定です。

デンカの今井俊夫専務は「
マロン酸ジエチルは世界的に需給がひっ迫した状況になりつつあるため、原料からの国内一貫生産の確立は意義があります。原料がアビガンになって役立てられればと思っています」と話しています。