津波想定地域で高齢者施設が大幅増 南海トラフ巨大地震 | 親父と息子の口喧嘩

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津波想定地域で高齢者施設が大幅増 南海トラフ巨大地震

 南海トラフ巨大地震で大きな被害が想定される4つの県にある高齢者の入所施設のデータを、NHKが独自に分析した結果、東日本大震災のあとも、津波の浸水が想定される地域で施設の数が大幅に増えていることがわかりました。専門家は「施設の建築を制限するような新たな対策も求められる」と指摘しています。

9年前の東日本大震災では多くの高齢者の入所施設が津波の大きな被害を受け、厚生労働省の調査では、入所者と職員の死者・行方不明者が合わせて658人に上りました。

NHKは、南海トラフ巨大地震で大きな被害が想定される静岡、三重、高知、宮崎の4県にある高齢者の入所施設のリストを入手し、その立地条件について独自に分析しました。

その結果、津波の浸水想定域にある入所施設の数が、東日本大震災の前の年の平成22年からことしにかけての10年で2倍余りに増えていたことがわかりました。

県別では、
▽宮崎県では27施設から101施設に増え3.7倍に上っていたほか、
▽三重県で46施設から101施設と2.2倍に、
▽静岡県で36施設から52施設と1.4倍に、
▽高知県でも38施設から54施設と1.4倍になっていました。

津波のリスクがある地域の高齢者施設をめぐっては、東日本大震災のあと、自治体が津波の危険性が特に高い地域を「津波災害特別警戒区域」に指定すれば建築を規制することができる新たな法律が施行されました。

しかし、区域の指定を行った自治体は全国で静岡県伊豆市だけで、多くの自治体が開発の規制への住民の反発などを懸念して制度の利用は進んでいません。

今回の結果について、防災と都市開発の関係に詳しい山梨大学大学院の秦康範准教授は「南海トラフ地震の津波のリスクのあるエリアでは土地の価格が安くなる傾向にあり、利用料が安くなれば経済的な余裕がない高齢者のニーズもあるため、リスクのある土地でも施設の開発が進んでしまうのではないか」と分析しました。

そのうえで「このままでは大きな被害を繰り返すおそれがあり、高齢者の入所施設など防災上、配慮が必要な施設については、原則、建築を制限するような新たな対策も求められる」と指摘しています。