G20開幕 新型ウイルス 世界経済への影響を議論 | 親父と息子の口喧嘩

親父と息子の口喧嘩

ある親父とある息子が、社会の色々な事柄について論じます。
こんなことを考えている親子もいるのかと、ぜひぜひ少し覗いてくださいな。

G20開幕 新型ウイルス 世界経済への影響を議論

G20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議が日本時間の22日夜、サウジアラビアで始まりました。

新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への影響や、景気を下支えするための各国の対応策などについて議論が交わされます。

今回の会議はサウジアラビアの首都、リヤドで22日、日本時間の午後8時に始まり、日本からは麻生副総理兼財務大臣と日銀の黒田総裁が出席しています。

新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、G20の閣僚が集まる会議は初めてで、世界経済への影響が主な議題となります。

中国人旅行者の減少によって各国の観光業が打撃を受けているほか、中国からの部品や原料の供給が滞って生産活動にも影響が出ており、世界経済を下押しするとの見方が強まっています。

初日の討議ではこうした懸念を共有したうえで、景気を下支えするための対応策などについて議論が交わされます。

会議が始まるのを前に日銀の黒田総裁は、「中国の経済活動がどのように動いていくか、コロナウイルス自体がどういうタイミングで終息するかも分からないので不確実性が大きい」と述べ、必要な場合には追加の金融緩和に踏み切る姿勢を示しました。

海外では、感染者が増えている日本で経済活動が停滞することへの懸念も出ていることから、会議では麻生財務大臣が感染拡大防止への日本の対応などを説明する見通しです。

中国経済の減速不可避の見方広がる

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、中国経済は大幅な減速が避けられないという見方が広がっています。

成長率に与える影響について中国の複数の民間のシンクタンクは、2003年に新型肺炎「SARS」が流行した際に四半期の成長率が2ポイント程度落ち込んだことを参考に、ことしの第1四半期は1992年以降最低だった前の期を2ポイント程度下回る4%前後に落ち込むと見込んでいます。

これ以上に悲観的な観測もあります。今回の感染拡大では消費が大きな打撃を受けているうえ2003年に比べて工場の生産停止の規模も拡大していることから、中国経済への下押し圧力はさらに大きく、第1四半期の成長率がマイナスになるという見方も出ています。

そして、中国経済の減速が世界経済に与える影響も一段と大きくなる可能性があります。SARSが流行した2003年、中国経済が世界全体のGDPに占める割合は4%余りでした。ところが、去年は16%程度にまで拡大していて、世界第2の経済大国である中国経済の冷え込みは、2003年をはるかに上回る規模で各国経済に影響を与えるおそれがあります。

中国政府は、短期的には消費や生産も大きな打撃を受けるものの、事態が収束したあとは落ち込んだ需要を補うため、経済活動は急速に回復するとして強気の姿勢を崩していません。

米経済も影響不可避

新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、アメリカ経済も避けられない状況です。

アメリカの主要な経済メディア、ウォール・ストリート・ジャーナルの調査では、新型コロナウイルスによる企業活動の停止などの影響で、8割を超えるエコノミストがアメリカの1月から3月のGDP=国内総生産が0.5%未満押し下げられるとしています。

このうち、中国への生産依存度が高い大手IT企業のアップルは今月17日、新型コロナウイルスの影響で「iPhone」の中国での生産台数が減っていることから、1月からの3か月間の売り上げが当初の見込みを達成できない見通しになったと発表しました。

また、アメリカにとって中国はカナダやメキシコに次ぐ輸出先で、年間の総額が11兆円にのぼり、中国経済が減速すればアメリカ企業に影響するおそれもあります。

とりわけ、トランプ政権が先月、中国との間で合意したアメリカ産の農産品や石油の輸出を1.5倍に増やすという計画の実現も不透明になっています。

トランプ政権は新型コロナウイルスの影響は一時的なもので、春ころには解消されるという強気な予測を立てていますが、感染の拡大が続く中、影響がどこまで広がるかは見通せない状況です。

IMF=国際通貨基金は19日、サウジアラビアで開かれるG20・主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議を前に世界経済の報告書を公表しました。

この中でことしの世界経済の成長率の見通しについて、プラス3.3%に据え置いて変更しませんでしたが、下向きに修正することに含みを持たせていて、新型コロナウイルスの影響がどこまで広がるのか注視するとしています。

ドイツの専門家 「景気を落ち込ませる一撃のおそれ」

中国でモノの製造が停滞していることは、遠く離れたヨーロッパにも影響を及ぼしています。

ドイツ南部に拠点を置くメーカーは自動車や換気装置などさまざまな製品に使われるファンを製造し、日本企業を含む1万を超える取引先に納めています。

使う部品のうち中国から調達する数はおよそ750にのぼりますが、ファンの動きを制御する電子基板など重要な部品は今月から入ってこなくなっています。

この会社は対応にあたる特別チームを設置し連日、中国にいるスタッフから現地の状況を確認しながら替わりの部品を調達する方法を探しています。このままだと来月には在庫が尽きて、生産を止めざるを得なくなるということです。

シュテファン・ブランドルCEOは、「世界の産業にとって中国は最も重要な部品の供給元です。もし、この状況が長期化すればドイツでの生産が止まり、顧客への供給が滞る事態になりかねません」と話しています。

こうした中国からの部品供給が滞ることへの懸念は、ドイツだけでなくヨーロッパの製造業全体に広がっています。

ドイツ経済研究所のマルセル・フラッチャー所長は、「ドイツやヨーロッパの経済は米中の貿易摩擦やイギリスのEU離脱をめぐる混乱ですでに弱まっている。そこに新型コロナウイルスの影響が広がれば、景気をさらに落ち込ませる一撃となるおそれがある」と警鐘を鳴らしています。

東南アジア各国 GDP見通しを引き下げ

新型コロナウイルスの感染拡大は、観光業を中心に東南アジアの経済に深刻な影響を与え始めています。

東南アジアは中国人の主要な旅行先の1つで、このうち、タイは年間1100万人近くが訪れる人気の観光地となっているほか、ベトナムも外国人旅行者のおよそ30%を中国人が占めています。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、中国人旅行者の減少などの形で東南アジアにも波及し、各国がことしのGDP=国内総生産の見通しを引き下げる動きも相次いでいます。

このうちシンガポールは、これまでプラス0.5%から2.5%の間としていた見通しを、マイナス0.5%からプラス1.5%と、1ポイント引き下げたほか、タイはプラス2.7%から3.7%としていた見通しを、プラス1.5%から2.5%と1.2ポイント下方修正しました。

新型コロナウイルスの感染者がまだ見つかっていないインドネシアもプラス5.1%から5.5%としていた見通しを、プラス5.0%から5.4%へとわずかながら引き下げました。

また、ベトナムは新型コロナウイルスの感染拡大の終息がことし6月まで長引いた場合、GDPの伸び率は目標のプラス6.8%を下回る5.96%となる可能性があるとしています。

さらに、東南アジアの製造業の間では、中国からの部品や原材料の調達の遅れなどが生産活動に悪影響を及ぼす懸念も広がっています。