米軍が殺害のイラン司令官 葬儀に人々殺到 埋葬は延期 | 親父と息子の口喧嘩

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米軍が殺害のイラン司令官 葬儀に人々殺到 埋葬は延期

イランでは、アメリカ軍に殺害された司令官の遺体が7日出身地に到着しましたが、葬儀に人々が殺到し、折り重なるようにして多くの人が死亡したため、予定されていた埋葬は延期されることになりました。一方、イランはアメリカに報復措置を警告していますが、殺害現場となった隣国イラクでアメリカ軍の撤退を求める動きも出る中、イランとしてはこうした情勢も見極めながら報復の内容を判断していくものとみられます。

トランプ大統領の指示にもとづいてイラクの首都バグダッドで殺害されたイランの精鋭部隊、革命防衛隊のソレイマニ司令官の遺体は7日、出身地の南東部ケルマン州に到着し、大勢の市民が街を埋め尽くす中で大規模な葬儀が行われました。

葬儀に出席した革命防衛隊のサラミ総司令官は「卑劣な殺害行為は、アメリカのこの地域における存在を終えんさせるだろう」と述べてアメリカを強く非難しました。

司令官はこのあと、埋葬される予定でしたが、現地には多くの人が殺到し、イランの当局者によりますと、人々が折り重なるようにして倒れて、32人が死亡、190人がケガをしたということで、この影響で、遺体の埋葬は延期されることになりました。

葬儀の責任者は、イランのメディアに対して、人々が死亡したのは、ソレイマニ司令官に対する殉死ではなく、多くの人が殺到したことによって起きた事故だと説明しています。

イランで英雄視されているソレイマニ司令官の葬儀には、数百万人が参列していると伝えられていて、現地からの映像では、街中を人々が埋め尽くしている様子が見られていました。

イランでは、司令官の殺害を受けて、反米感情が高まっているほか殺害現場となった隣国イラクでも、アメリカ軍の撤退を求める動きが出ています。

これを受けイランでは、革命防衛隊の航空司令官が「アメリカ軍がこの地域から出て行くことは、アメリカ軍基地を攻撃することよりも価値がある」と述べるなど敵対するアメリカ軍を中東地域から追い出すことが重要だという意見も出始めていて、イランとしては、アメリカの司令官殺害に対する周辺国の反応を見極めながら報復の具体的な内容を判断していくものとみられます。

一方、イラン議会は7日、アメリカ国防総省をテロ組織に、アメリカ軍関係者のすべてをテロリストに指定するとした法案を可決しました。

またソレイマニ司令官が率いていた特殊部隊に対して、新たに日本円で250億円ほどの予算を追加することを決めアメリカとの対決姿勢を強めています。

有志連合 イラクでの活動を一時中断

アメリカ軍によるイランの司令官の殺害で両国間の緊張が高まる中、過激派組織IS=イスラミックステートの掃討作戦を行っているアメリカ軍主導の有志連合は5日、イラクの部隊の訓練や、作戦を支援する活動を一時中断すると発表しました。

有志連合は、発表した声明の中で中断する理由について、部隊が駐留する、イラク軍の基地に対しシーア派の武装組織「カタイブ・ヒズボラ」によるロケット弾の攻撃が続き、訓練や作戦が制限されているためだと説明しています。

今後の対応について有志連合は、イラク政府とイラク国民のため、駐留を続ける意思は固いとしていて、活動をやめる考えはないと強調しています。

イラクでの活動をめぐっては、NATO=北大西洋条約機構も4日、イラクの治安部隊を訓練する任務を一時中断したことを明らかにしました。

NATOのストルテンベルグ事務総長は6日、「状況が許すならば、訓練を継続し、能力を強化する準備ができている」と述べ、治安が改善すれば、再開する考えを示しました。

イラン最高安全保障委員会「報復は13シナリオ」もその後否定

イランの最重要政策を決めている最高安全保障委員会のシャムハニ事務局長は、アメリカへの報復措置について7日、地元メディアに対して「13のシナリオを検討した」などと述べたと伝えられていましたが、国営通信は、最高安全保障委員会が声明を出し、報道内容を否定したと伝えています。

シャムハニ事務局長は当初伝えられた発言で、ミサイルを使った攻撃でアメリカ軍関係者を標的にすることを示唆していました。

最高安全保障委員会はアメリカがソレイマニ司令官を殺害したあとに召集され、具体的な報復措置について検討を行っています。

イラン報復措置 ミサイルで米軍標的か

国営メディアなどによりますと、イランで国の最重要政策を決めている最高安全保障委員会のシャムハニ事務局長は「これまでに報復として13のシナリオを検討した。いずれのシナリオもアメリカにとって悪夢のようなものだ」と述べ、報復措置の具体的な検討が進んでいることを強調しました。

そのうえで「われわれの報復は、アメリカの軍隊に焦点をあてている」としたうえで「彼らは、イランがおそらく中長距離ミサイルを使って報復することを知っている」と述べ、ミサイルを使った攻撃でアメリカ軍関係者を標的にすることを示唆しました。

そのうえで「詳細はお伝えできないが、報復行為は単体のオペレーションにとどまらないと」として、複数回にわたって報復する可能性も示唆しています。

また「アメリカ軍が、この地域からみずからの足で出て行かないのならば、横たわった状態で出て行ってもらう措置に出る」と述べ、アメリカ軍は中東地域から撤退すべきだという考えを示しました。

イラクでもシーア派幹部の葬儀

イランの隣国イラクではソレイマニ司令官とともにアメリカ軍に殺害されたイラクの正規軍に次ぐ準軍事組織「人民動員隊」のアブマハディ・ムハンディス副代表を追悼する、大規模な葬儀が行われています。

ムハンディス副代表の出身地、イラク南部のバスラでは葬儀に合わせて7日を休日に指定し、数千人が参加してイラク国旗や写真を掲げ、ムハンディス副代表の死を追悼しました。

ムハンディス副代表はイラク政府が過激派組織IS=イスラミックステートを掃討するため立ち上げた正規軍に次ぐ準軍事組織「人民動員隊」を率いていた一方、アメリカ政府はイランの支援を受けてアメリカ軍への攻撃を繰り返してきたテロの容疑者として扱ってきました。

ムハンディス副代表が創設した「カタイブ・ヒズボラ」などイラクのシーア派武装組織は報復としてアメリカの関連施設への攻撃を警告しています。

5日にはバグダッドにあるアメリカ大使館をねらったとみられるロケット弾攻撃が起きていてイラク国内は緊張が高まっています。

専門家「殺害は むしろイラン人の団結力高めた」

アメリカの安全保障政策に詳しい笹川平和財団の渡部恒雄上席研究員は、アメリカ軍によるソレイマニ司令官の殺害について「司令官の殺害は、むしろイラン人の団結力を高め、比較的リベラルなロウハニ政権を強硬にさせてしまう」と述べて、イランで反米勢力が勢いを増すことになると指摘しました。

また「ソレイマニ司令官は、イスラム国の掃討作戦で功績を挙げ尊敬されてきた人物。イラク国内におけるシーア派の影響力を高め、イランの影響力を高めることになると思う。中東におけるアメリカの影響力は、ドミノのようにどんどん下がっていく」と述べて、イラクでもシーア派住民の間で尊敬を集めてきた司令官の殺害が、かえってイランの影響力を強める結果になるとしています。

一方、イラクに展開するアメリカ軍の撤退を示唆する書簡が流出した問題については「サインがされていない紙が、どういう状況で出たかわからないが、おそらく混乱した状況にあったのだろう。トランプ大統領は、短期間で違う方向の決定をするので、その下にいる人たちはどっちを向いているのか分からない。そういう混乱が、特に中東におけるアメリカ軍にはつきものだ」と指摘し、政権内の混乱ぶりが露呈した形だという見方を示しました。

そのうえで「国防総省が言っているとおり、あくまでもオプションの一つであり、一方的に、ここで撤退するとイランに対して弱さを見せることになる。その方向には、いかないのではないか」と述べて、即座にアメリカ軍のイラクからの撤退には結び付かないという見解を示しました。