試験中止のアメリカ新型宇宙船 日本時間あす夜までに帰還へ | 親父と息子の口喧嘩

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試験中止のアメリカ新型宇宙船 日本時間あす夜までに帰還へ

アメリカで開発されている新型の有人宇宙船の試験の最終段階として20日、無人の宇宙船が打ち上げられました。しかし、宇宙船のエンジンが正常に作動しなかったため予定されていた国際宇宙ステーションとのドッキングを中止し、地球への帰還を目指すことになりました。

航空機大手、ボーイングが開発中の宇宙船「スターライナー」は、国際宇宙ステーションを目指して20日午前6時半すぎ、日本時間の午後8時半すぎに南部フロリダ州のケープ・カナベラル空軍基地からアトラスVロケットで打ち上げられました。

宇宙船は、打ち上げのおよそ15分後に切り離されましたが、エンジンが正常なタイミングで作動せず、予定されていた軌道に入ることができませんでした。

NASAとボーイングは打ち上げ後の記者会見で、宇宙船の時計に問題が生じたことが原因の可能性があるとしたうえで、宇宙船に十分な燃料がないため国際宇宙ステーションとのドッキングを中止し、当初の予定より早く地球に帰還させることを目指すと発表しました。

ただ、宇宙船は安定した軌道にあり、ほかの機器も正常に動いているとして、センサー付きの人形で打ち上げや着陸の衝撃を計測する試験などは引き続き実施するということです。

宇宙船は、日本時間の22日夜までにアメリカ南西部のニューメキシコ州の砂漠地帯に帰還させ、回収するということです。

今回の無人飛行の目的

今回の無人飛行は、実際に宇宙飛行士を乗せて飛行する前の最終段階の試験です。

船内には「ロージー」と名付けられた等身大の人形が乗せられ、さまざまなセンサーで宇宙飛行士にかかる衝撃などを計測するほか、これまでの宇宙船に比べて高度に自動化された操縦システムが設計どおり動作するかを確認するのが目的でした。

計画では、20日に打ち上げられたあと、宇宙船はエンジンを噴射してISS=国際宇宙ステーションと同じ軌道に入り、翌日の21日にドッキングすることになっていました。

ドッキングのあとは、国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士が船内に入って搭載されていた荷物を取り出し、宇宙船は27日に国際宇宙ステーションから離れ、28日にアメリカ南西部のニューメキシコ州の砂漠地帯にパラシュートで帰還する予定でした。

米の今後の宇宙計画

アメリカが新たな有人宇宙船の開発を急ぐ背景には、各国が宇宙開発に次々参入する一方で、スペースシャトルの引退後、みずからの力で宇宙飛行士を送り出す能力を持たないことへの危機感の表れとみられています。

スペースシャトルは運用にかかる費用があまりに高額だったのが引退を決定づけた理由の一つでした。次世代の宇宙船を開発し月への着陸を目指すとした「コンステレーション計画」がオバマ政権時代に中止されたのも、同じく費用の問題からでした。

このためNASAは、新しい有人宇宙船の開発や運用は民間企業に委託し、宇宙飛行士が地球と国際宇宙ステーションを往復するのにかかかる費用を支払うという形をとってコストを削減しようとしています。

また、開発されている宇宙船は民間人が搭乗して国際宇宙ステーションに滞在するときにも使われることを想定しています。

その一方で、アメリカは、月やその先の火星を目指す国家プロジェクトも進めています。トランプ政権は2024年に再び月面に宇宙飛行士が立つことを目指す「アルテミス計画」を策定し、有人宇宙船「オリオン」や月着陸船の開発を続けているほか、50年前の「アポロ計画」で使われた巨大ロケット、「サターンV」に匹敵する「SLS」=スペース・ローンチ・システムの製造を進めています。

月を回る軌道には小型の宇宙ステーション、「ゲートウェイ」を設置して、さらに遠い火星への有人飛行の拠点としても利用する計画で、火星着陸の一番乗りを目指し、アメリカは宇宙開発を加速させています。