浸水被害 田園調布も二子玉川も…多摩川周辺で起きたこと | 親父と息子の口喧嘩

親父と息子の口喧嘩

ある親父とある息子が、社会の色々な事柄について論じます。
こんなことを考えている親子もいるのかと、ぜひぜひ少し覗いてくださいな。

台風19号の影響で東京と神奈川を流れる多摩川も氾濫し、東京の大田区田園調布の住宅地や世田谷区の二子玉川駅周辺も浸水被害に見舞われました。氾濫はどのように発生し、どういった被害を及ぼしたのか。

氾濫 12日午後10時ごろ

国土交通省京浜河川事務所によりますと、世田谷区玉川の二子橋からおよそ100メートル下流の観測所のデータでは12日午前6時以降、急激に水位が上がりはじめました。

1時間あたり30ミリ以上の激しい雨が降り続き、水位は50センチ前後ずつ上昇。

ふだんは2メートルほどの水位が午後2時に6メートル、午後6時に8メートルを超えてその後も上昇を続け、午後9時時点では8メートル67センチに達しました。

そして午後10時ごろに氾濫し、国土交通省や気象庁は午後10時20分に5段階の警戒レベルのうち最も高いレベル5にあたる「氾濫発生情報」を発表して、安全の確保を図るなど最大級の警戒を呼びかけました。

田園調布の住宅街 腰のあたりまで水が…
田園調布の住宅街 腰のあたりまで水が…

東京 大田区田園調布の住宅街で警視庁の機動隊が救助活動をする様子を撮影した写真では13日の午前1時すぎに警視庁の機動隊の隊員が青と黄色のウエットスーツ姿で救命ボートを持ちながら、救助要請のあった場所まで向かう様子が写っています。

水の高さは腰のあたりまで達していました。

そして30分後に撮影された写真にはボートに住民たちを乗せ、ライトで進行方向を照らしながら戻ってくる様子が写っています。

堤防未整備の部分から流れ込む

多摩川の氾濫、世田谷区の二子玉川駅付近ではどのように水が流れ込んだのかがわかってきました。

国土交通省京浜河川事務所によりますと東急田園都市線・二子玉川駅の南西側は500メートル余りにわたって堤防が整備されていない部分があり、台風19号ではこの部分などからマンションが建ち並ぶ区域に川の水が流れ込んでいたことが分かりました。

河川事務所では台風の接近を前に土のうを積むなどの対応をとっていたということですが、水は土のうを超えるなどして流入したとみられるということです。

堤防が未整備の区間は東京 世田谷区の多摩川下流部、東急電鉄の二子玉川駅の南西にある川沿いです。

河川工学が専門で多摩川河川整備計画の有識者会議の委員を務めた東京大学の知花武佳准教授によりますと、大正時代、川沿いに堤防を整備する計画があったということですが、当時10数軒あった料亭が「堤防があると景観を楽しめない」などと反対したため、川から100メートル余り離れた道路沿いに堤防が整備されたということです。

その後、この道路沿いの堤防と川の間に住宅やマンションなどが建てられるようになりました。10年ほど前には、駅の下流側の堤防が作られましたが、駅の上流側のおよそ500メートルについては議論が続いているさなかだったということです。

知花准教授は「堤防などのハードで守るという意見がある一方、『川が見たい』などと川と人の距離を近くしたいという考えもあり、いろんな意見がある。情報をどう共有し、素早く避難するのか、川沿いでの暮らし方やまちづくりのあり方を考える必要がある」と話していました。

今回の浸水被害を受けて京浜河川事務所は「住民の意見をしっかりと聞き、早急な整備を進めていきたい」としています。

東京23区の浸水被害はハザードマップの想定とほぼ一致
東京23区の浸水被害はハザードマップの想定とほぼ一致

東京23区での建物への浸水被害について取材したところ、15日正午時点で住宅などへの床上・床下浸水被害は多摩川沿いの大田区と世田谷区を中心に合わせて637件にのぼることがわかりました。

具体的には大田区では田園調布4丁目と5丁目を中心に583件、隣接する世田谷区では玉堤地区や玉川地区などで44件、板橋区で8件、豊島区で2件の被害が確認されたということです。

浸水の被害は自治体が公表しているハザードマップの想定とほぼ一致していて、各区では今後、どのように被害が拡大したのか検証することにしています。