来年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてことし7月に実施された交通規制の実証実験では首都圏の国道で発生した渋滞の総延長が、ふだんの1.5倍の長さのおよそ90キロに達し、特に規制が行われた環状七号線の外側では深刻な渋滞が起きていたことが分かりました。専門家は「このままでは市民生活などに深刻な影響をおよぼすおそれがあり、対策が急務だ」と警鐘を鳴らしています。
民間の交通データ会社「富士通交通・道路データサービス」は首都圏の高速や国道を走行するおよそ3万台のトラックの運行記録をもとに、実証実験の際の渋滞の状況を分析しました。
その結果、首都圏の国道の各地で渋滞が発生し、その総延長は、
▽実験初日の7月24日はおよそ80キロ、
▽実験2日目の7月26日はおよそ90キロに達し、ふだんの1.2倍から1.5倍の長さになっていたことが分かりました。
特に都心への車の流入をおさえるため、信号調整が行われた環状七号線の外側では深刻な渋滞が発生していて、このうち国道4号線では、
▽環状七号線と交わる東京 足立区の交差点と、
▽外環道と交わる埼玉県草加市の交差点の間の8キロ余りの区間のうち、半分に当たる4キロが渋滞していたことも分かりました。
これは、ふだんの2倍程度の長さで、通過にかかる時間もふだんの3倍ほどのおよそ45分かかったとみられます。
一方で環状七号線の内側でも、渋滞の総延長が最大でふだんの1.3倍に伸びていました。
物流交通が専門の東京海洋大学の兵藤哲朗教授は「大会期間中にも一般道が大混雑して、商品が届かないといった事態など市民生活への深刻な影響が懸念される。車の総量を減らす対策が必要だ」と指摘しています。