<多死社会>一時預かる「遺体安置施設」 都市部で利用増加 | 親父と息子の口喧嘩

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毎日新聞9/25(火) 10:45配信

 

 すぐに火葬できない遺体を一時的に預かる「遺体安置施設」の利用が都市部で伸びている。多死社会で火葬までの待ち時間が長引き、遺体の保管に困る遺族が増えているためだ。一方、迷惑施設として近隣住民の反対で撤退に追い込まれた例もあり、開業を巡るルール作りの議論も高まりつつある。

 

  JR荻窪駅から徒歩約10分。東京都杉並区の幹線道路沿いに、遺体安置施設「やすらぎ」はある。2人分の遺体を安置できる冷蔵設備と、ソファなどがある面会室を設け、故人との最後の時間を過ごせる。

 

  使用料は1日7500円。ここで故人を見送り、火葬場へ行くプランだと、費用は約30万円。一般的な料金より割安だ。2016年4月にオープンし、これまでに約130件の利用があった。約2週間預かった例もあるという。近親者だけの「家族葬」や、通夜・告別式をしない「直葬」など、近年の小規模・簡素化のトレンドにも対応する。

 

  こうした安置施設は数年前から、東京都内や横浜市など都市部で相次いで開設された。需要の高まりは、火葬場で順番待ちの時間が延びて遺体の保管が難しくなっていることに加え、都市部の住宅事情や核家族化を背景に、自宅に安置しない傾向もある。運営会社の小川尚彦社長(58)は「マンションに安置できなかったり、ご近所に知られたくなかったり、ニーズはさまざま」と話す。

 

  厚生労働省によると、16年の死亡者数は約130万人と、この20年間で約40万人増えた。一方、火葬場は老朽化や統廃合などで減少し、16年度末で全国に約4200カ所。この20年で半分近くに減った。東京都の葬儀関係者は「都市部では火葬が追いつかない」と明かす。

 

  ただ、遺体を扱うせいか、住民が戸惑い、迷惑施設として地域を巻き込んだ反対運動に発展したケースは少なくない。

 

  14年10月、川崎市の住宅街に工場を改装してオープンした「ビジテーションホームそうそう」は開業前、周辺住民を対象に説明会を開いたものの、「遺体に囲まれて不安」「衛生面は大丈夫か」などの批判を受け、溝が埋まらないままサービスを始めた。稼働率は上々だったが、地域の反対活動を見かねた建物オーナーから立ち退きを求められ、昨年撤退した。運営会社の竹岸久雄社長(42)は「地元の理解がないと難しい」とため息をつく。

 

  川崎市は反対活動を受け、新規開設の際は住民への事前説明を求めるとする要綱を策定した。同様に要綱や条例を制定する自治体は相次ぐが、施設数に地域差があり、国レベルの法的な規制はない。

 

  火葬場に詳しい一般社団法人「火葬研」(東京)の武田至代表理事は「財政面や近隣の反対などから火葬場を増やすのは困難。火葬にかかる時間の短縮のため、あらゆる手段を模索すべき時期がきている」と指摘している。