映画を観終え、館内を後にしようとした時、誰かの怒っている声が聞こえた。そっちも気になるのだが、身につけていたアクセサリーが無いことに気づき、探している最中でもあった。
三十路を迎えた女性二人組が、中学生男子三人組に向けて罵声を浴びせていた。こんなにも良い作品であったのに、その場面を見た瞬間に悲しい気持ちになったが、自身の持ち物を無くしたショックも大きく焦燥感に駆られていた。
ほんの一瞬の出来事を頭の中で反芻しながら帰路についた。男子生徒の斜に構えたような反応を思
い出し、こういった人材が世の中に増えれば安泰であるとも感じた。真面目で優しい子がバカを見る世の中である、少しくらい屁理屈のある方が良いのかもしれない。
トラブルの内容の真相は知り得ないが、もう少しだけ、三十路組には大人対応をして欲しい気持ちもした。しかし、自分の思い入れがある物事を邪魔されるほどの不快感ときたら、これはまた尋常じゃない怒りが湧いてくるのも理解できてしまう。
今夜もどっち付かずなズルい立場でいようと思う。