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自民党安部さんが総理大臣に復活し、高々と「脱デフレ!」の経済政策「アベノミクス」を掲げたのは2012年の年末でした。
翌年2013年からアベノミクスは本格的にスタートします。
アベノミクスは、「脱デフレ」の目標として
「インフレ率2%達成」
を一つの目安とし、その目玉政策として、日銀が異次元金融緩和政策を行い、何とか物価を上げようと努力してきました。
しかし2021年になった今でも、日本はインフレ率2%は達成できずにいます。
別に物価が上昇しなかったからアベノミクスは失敗だったというわけではありません。
失業率はこれ以上下げられないというほどの低水準まで下がりましたし、株価も飛躍的に上昇しました。
何年かかっても上昇しなかった日本の物価ですが、世界を見ますともう間もなく日本も大きく物価が上昇するであろうという局面を迎えています。
アメリカでは、今年8月の生産者物価指数が前年同月比で8%も上昇しています。
中国では既に今年9月の生産者物価指数が発表されましたが、前年同月比で10%も上昇しているのです。
生産者物価指数が上昇しているということは、生産者が仕入れる原材料の価格が上昇しているということです。
ここ数か月、アメリカ・中国の両大国とも生産者物価指数が先に上昇していますが、生産者はモノを作る仕入代金が上昇しただけで販売価格を上げないと利益が出ませんから、いずれは消費者物価指数が上がるということになります。
日本でも既にガソリン価格等、物価が上昇しているものもありますが、まだはっきりした物価上昇は実感できていません。
しかし、食品にせよエネルギーにせよ、日本は多くを輸入に頼っていますから、近い将来物価上昇がはっきりと実感できるようになりそうです。
アメリカ・中国の両大国をはじめとして世界で物価が上昇している要因はいくつか考えられますが、最大の要因は、世界的にコロナ感染対策のロックダウンなどが一段落したために「需要」が短期間に急上昇したこと、又、それに供給サイドが対応できていないことです。
中国政府はコロナ感染拡大防止を厳しく強制的に管理したために、貿易拠点である港湾での物流の滞りが顕著になりました。
中国の貿易港では、そこで働く職員にたった一人コロナの陽性反応者が出てしまっても、港の施設全体を閉鎖して職員全員を一定期間隔離させてしまいます。
そうなると輸送品の搬入も搬出もできず、貿易船は長期間港に留まらざるを得なくなってしまいます。
コロナがとりあえず収まり、世界的に需要が上昇している中で、「世界の工場」である中国で物流が滞ることにより供給が抑えられてしまうと、当然世界的に物価が上昇します。
又、貿易船が動けなくなってしまうと「待っていられないから、運賃はいくらでも払うからとにかく早く荷物を運んでくれ!」という人が必ずでてきます。
そうしたことが海運価格を上げてしまうのです。
おまけにアメリカの主な貿易港は、労働組合の力が強いため夜間の業務は行わないとのことですので、アメリカでも貿易品の物流が思うように進まないという「二重のジレンマ」が生じてしまいます。
こうして需要の高まりに供給が追い付かないことによる物価の上昇や海運運賃の上昇が
世界の覇権国であるアメリカでインフレが顕著になっている主要因です。
アメリカでは、今月末にハロウィンを迎え、12月にはクリスマスがあります。
国中で最も消費活動が盛んになるシーズンです。
益々のインフレ拡大が想定されます。
一方の中国は、物流停滞によって起こったインフレに加えて、資源価格の上昇や異常気象によって火力発電が思うように稼働せず、大規模な停電が起こっています。
中国では電気料金が政府によって定められているため、今の高額な石炭価格では、中国の電力会社は電気を製造して売れば売るほど赤字になってしまう状態なため、電力会社が電気を供給しないようです。
このため中国経済評論家の石平氏によると、最近中国政府は電力料金を電力会社が自由に設定してよいという電力料金の自由化に踏み切ったようです。
こうなると、中国では停電の不自由さは解消されるものの、電気代の上昇により益々の製造費用の上昇が確実となり、「コストアップインフレ」を招いていくことになります。
こうしたアメリカ・中国の動きに日本経済も飲み込まれるのは確実です。
もう8年以上もあくせくしながら達成できなかったインフレが、あまり喜ばしい状況ではないものの達成間近になっています。