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アメリカとソ連が対立していた当時の産油国の原油生産量の調整は石油輸出国機構(OPEC)で事足りていました。

世界はアメリカをリーダーとする資本主義経済圏とソビエト連邦をリーダーとする共産主義経済圏に分かれて、互いの経済交流が殆ど無かったからです。

OPECは1960年に創設された産油国のカルテル(協定組織)で産油国の利益を守るための会議体です。

 

世界的に石油の価格が下がると産油国が協調して生産量を減らし、価格の維持に努めるというような活動を行っています。

OPECのリーダーは世界最大の産油国の1つであるサウジアラビアです。

ところがソ連の崩壊により共産主義経済圏が無くなり、ソ連がロシアとなってからは、世界第3位の産油国であるロシアが世界の原油市場に加わってきます。

OPECが石油価格を維持するために生産調整を行っても、ロシアがその間に増産すれば石油価格はOPECの思惑通りにはなりません。

そうした理由で、現在では世界の原油供給のカルテルはOPECのリーダーであるサウジアラビアとロシアが事前に個別協議を行って、両国が合意に達した後、サウジアラビアがOPEC加盟国を調整して加盟国の合意を得るという方法になっています。

この方法は「OPECプラス」と呼ばれています。

中国で新型コロナウイルスが蔓延し、これが世界に広がったことにより、世界経済は大きく縮小しています。

ただでさえ昨年アメリカと中国の関税引き上げ合戦で世界経済が縮小しつつあったところに今の状況が重なって降ってきたというのが今です。

工業生産や人の行き来が縮小するこんな状況で、従来と同じ生産を続けると石油の価格が上がるはずはありません。

石油の輸出で食べている産油国にとっては大変困る状況なのです。

そういうことで、サウジアラビアがロシアに生産を調整して石油価格を維持しようと持ちかけたのですが、ロシアがサウジの提案を蹴飛ばしてしまいました。

この交渉決裂により原油価格は更に一段と下落しています。

ニューヨーク先物価格は、1バーレル50ドルを大きく割り込みました。
大体1バーレル60ドルぐらいが通常の目安ですからかなりの下落と言えます。

それが先週末の動きです。
週が開けた途端、原油価格は27ドルまで一気に下落しています。

ロシアから減産合意を得られなかったサウジアラビアが逆に増産に舵を切ったからです。

ロシアとしてもこの石油価格の下落は大きな痛手にはちがいないのでしょう。
しかしプーチン大統領は「ロシアは今の価格水準を許容できる」と突っ張っています。

プーチン大統領が突っ張る背景には、いつまでもサウジアラビアに石油カルテルの主導権を握らせたくはないというロシア独自の思惑があるのです。

一方でサウジアラビアには、自国で株式上場した石油生産会社のサウジアラムコ社を海外の主要株式市場でも高値で上場させたいという思惑があります。

石油の価格が高ければ、サウジアラムコ社は利益が増す、利益が増せば株価も上がる、しかし減産合意が得られないなら掘れるだけ掘って売上を得よう、ということです。

石油価格の急落は全面輸入に頼る日本にとってはありがたい事ですが、石油価格の大幅下落はまた新たな経済問題を生むことになります。

すぐに考えられるのは産油国の財政悪化、アメリカ社債市場でのハイイールド債の下落などです。

いずれの問題も債務不履行(借金が約束通り払えない)が連鎖すると大きな金融危機に繋がる可能性が高まります。

今は株価も大きく下落していますが、石油中心に商品市況も大きく下落しています。

大変厄介な時代に突入しているようです。