朝からのロングサファリのあと、ゆっくりと休みたかったので通常の3時半からの午後のサファリを4時からにしてもらった。
4時に駐車場に行くと、車はフィリップさんの車一台だけ。
どんよりとした曇り空の下、まったりとした気分でサファリに出発。
夫は、絶対に豹かチーターを見つけるんだと双眼鏡を片手に草むらの中を見つめている。
私と子供達は少々疲れ気味だったので車のシートにもたれかかって、窓の外に果てしなく続くサバンナをボーっと見つめていた。
すると、突然 「き~~~~」 「わお~~~ん」 と動物の叫び声が…
それは二頭の犬がイボイノシシを襲っている戦いの声だった。
犬は、多分元マサイ族の飼い犬で、逃げ出して野生化したもので、二頭で狩をしていた。
犬はイボイノシシのお尻辺りにかみついて、イボイノシシは血を流しながらもキバを剥いて必死に立ち向かっていた。
そんな姿に、子供達は大ショックを受けた様子。
「ボクが飼う犬はこんなことしないよね?」
「ボクの犬がボクに噛み付いて血が出たらどうしよう?」
ボクが飼いたい犬はチワワとかヨークシャテリアとかの愛玩犬だけど、犬とはもともとはオオカミ。戦闘的な本能はあるんだよ。
「もう、こんなの見たくないよ~」
マリリンもティガーも半べそで訴えたので、その場は去ることにしたけど、遠くまでイボイノシシの甲高い叫び声が聞こえてきた。
その後もチーターなどの豹柄動物を探すも、なかなか見つからない。
向こうのほうは、大雨が降っているのがハッキリとわかる。 そのうちに我が家の車もその雨の中に入っていくだろう。
天井の幌をかけて、「普通の車」に変身。
普通の車になっちゃうと、窓も小さいし、外は良く見えなくて、チーター探しも諦め。
それに、雨のせいかチーターどころかいつもその辺にいる草食動物さえもどこかへ行ってしまったのか見当たらない。
フィリップさんが
「見ててごらん、They are mating.」
そう、『メイティング』なんです~
メスがシッポを振りながら色っぽい流し目で「ヘイ、カモ~ン」って言ったかどうかは知らないが、とにかくなんだか色っぽいんだよね。
オスは、メスのあとを誘われるがまま追いかけて歩いていき…
おお~っと
その日のマリリンの日記には『ライオンの結婚式』の絵が書いてありました。
オスライオンはタキシード、メスライオンはウエディングドレスを着て、象やシマウマが祝福する素敵な結婚式でした。
雨の中での神秘的な姿にドキドキしながらもウットリ。
でも遠くに煙が…
火事です。
フィリップさん曰く
「多分、心無い観光客の投げタバコのせいだろう。よくあることさ。すぐ消えるよ。」
なんて心無さ過ぎの観光客でしょう…