夜7時。待ち合わせは最近、港の近くに出来たという高級ホテルのロビーだった。
私とはこんなおしゃれな所に来たことないのに。
もの珍しそうに辺りを見回す旦那の様子から、彼もここへは初めてらしい。
少し遅れて女がにこにこしながら小走りにやってきた。
なんと私の従妹の由美であった。まさかお相手が由美だなんて!
由美は親しげに駆け寄ると旦那の腕を取り、さあ行きましょうと階上へと誘った。
この恥知らず!私は精一杯ビービーと大音量で音を立て、身を震わせて抗議をした。
しかし二人は話に夢中で気づいてさえくれなかった。
ホテルの三階に上がるとそこはスイートルーム。
ではなく、高級ブランド品の店が軒を連ねるショッピングモールだった。
「でも和美は幸せものよねえ。こうして優しい旦那様にサプライズプレゼントしてもらえてさあ」
え?私は耳を疑った。
「今日は結婚記念日だからね。あいつも毎日一生懸命働いて大変みたいなんだよ。何か少しでも喜ばせてやりたくてさ。でもいざとなると何が良いかわかんなくて。由美ちゃんにアドバイスしてもらって助かったよ」
結婚記念日!そうだった!すっかり忘れていた。私は彼の気持ちを知り思い切り泣いた。
泣いて泣いて涙で濡れるととうとう故障したのか意識が真っ暗になってしまった。
目が覚めると我が家のベッドの上だった。
枕元には赤いリボンの小さな包み・・・
旦那の寝顔にキスをした。
完