終戦の時私は小学校4年生でした。その翌年配られた国語の教科書は、粗悪な紙に印刷された今のパンフレットよりもっと粗末なもので表紙らしいものもついていませんでした。
けれどもその教科書に印刷されていた文章は意外に読み応えがあって、心に残る文章でした。その教科書で一番心に残ったのが冬の夜の思い出を綴った随筆のような文章でした。
ゲッチンゲンという都市の冬の夜、馬が引く雪橇が鈴を鳴らして街角に消えてゆく、そんな情景が書かれていました。
大人になってからも冬になるとその文章を思い出し、あれは誰の文章だったのだろう、何とかして調べる方法は無いものかと思いました。
PCを使うようになって、そうだ、インターネットで調べればわかるかも知れないと思い、「ゲッチンゲン、冬、橇」と検索しました。すると寺田寅彦、ベルリン大学とヒットしました。次に「寺田寅彦、ゲッチンゲン、冬、雪橇」と検索するとあの懐かしい文章に出会えたのでした。
それは寺田寅彦の「追憶の冬夜」という随筆でした。10歳位の時、教科書で出会って探していた文章に、後期高齢者になって再会したのです。とても感動しました。
教科書の文章は原文より短くしてあったかもしれません。でも雪橇以外にも微かに記憶していた部分がいくつかありました。インターネットの素晴らしさを再認識しました。
下のURLで「追憶の冬夜」を読むことが出来ます。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/24408_15378.html