区議会厚生委員会で、10月28~30日、
行政視察に行ってきました。
区議会の各常任委員会で年に1度、
その年度の調査事項に合わせた内容で
地方視察に行くのです。
 
今回の行程とテーマ、ワタクシの感想は
28日 兵庫県立健康科学研究所(兵庫県加古川市)
    ●感染症対策および衛生対策について
     ⇒保健衛生業務への理解を深めました。
29日 社会福祉法人愛徳福祉会 大阪発達総合療育センター(大阪市)
    ●肢体不自由児と重症心身障害児者の療育について
     ⇒重症心身障碍児者への支援とそれを支える医療サービスの大切さを実感。その他、福祉人材の確保と育成、医療的ケア児への対応や災害対応など多くのことを学びました。
    社会福祉法人大阪府社会福祉事業団 みずほおおぞら(大阪府豊中市)
    ●地域生活支援拠点について(多機能拠点整備型)
     ⇒障害者の地域移行に向けた事業者の努力と市全体での受け皿の充実ぶりに圧倒されました。品川区も頑張らねば。
30日 滋賀県栗東市
    ●介護予防について(住民主体の介護予防)
     ⇒理学療法士など専門職の力を行政に生かすことの効果を強く感じました。
 
以下、詳細です。
 
【県立健康科学研究所
 各都道府県と政令市にある衛生研究所の兵庫県版です。
以前は神戸市にあったのですが、阪神大震災の折に
神戸市の衛生研究所ともども被災したことから、
リスク分散の意図もあり、加古川市に移転したとのこと。
 
はじめに概要説明を受けます。
 
 
館内は感染症部の研究フロアと健康科学部の研究フロアに分かれていて、
精密機器が並んでいます。
インフルエンザの流行についてデータを分析したり、
食品中に放射性物質や残留農薬が含まれていないかなど
さまざまな検査をしています。
 
 
質疑では、各市町村や保健所との
連携などについて伺いました。
インフルエンザの流行の把握や広報の仕方なども
興味深いところ。
 
【大阪発達総合療育センター】
センターを運営する社会福祉法人愛徳福祉会は
1970年に日本で初めての肢体不自由の療育施設としてスタートしました。
初代園長を医師が務めるなど、医療が充実。
 
120床の施設に対して
17職種400人! のスタッフがいる手厚さで、
「人件費は大変だが、熱意とやる気で支えられている」
とのことでした。
 
 
 
センターでは医療型入所施設、ショートステイ、
児童発達支援、生活介護などの通所サービス、
訪問看護やヘルパー派遣などの在宅支援を行い、
それぞれを高度な医療サポートで支えているのが特徴です。
 
本当にスタッフの方が大勢いて、みなさんフレンドリー。
一人一人に向き合う姿勢が強く感じられました。
 
品川区でも今年10月に
障害児者総合支援施設がオープンしましたが
医療が精神のみということもあり
医療的ケア児者がショートステイなどの
対象になっていないのが残念です…
 
 
下の写真は、重度の肢体不自由の女性が
わずかに動く足の指でパソコンを操作して書いたもの
(ご本人に撮影・掲載許可をいただきました)。
 
こんなチャーミングな意思表示ができる信頼関係って素晴らしい。
 
 
室内や廊下だけでなく、
手術室の入り口もカラフルに装飾。
近くの壁には、手術を受けた子どもたちの
カラフルな手形がたくさん貼ってありました。
 
 
障害福祉の分野は人材不足が激しいのですが、
同センターでは、理念や働き方に共鳴して応募される方が多く
採用に困ったことはないとか。
看護師クリニカルラダーによる人材育成と
介護士、保育士への展開も進めているとか。
スキルアップとモチベーションが高まる職場には
若い人も惹かれるということでしょうか。
 
 
【みずほおおぞら】

障害者施設と高齢者施設の機能を持つ

「みずほおおぞら」は、大阪空港の近くの豊中市にあります。

私も小中学校時代は豊中に住んでいました。

人口約40万人と、品川区とほぼ同じ。

どんな福祉が展開されているのでしょうか。

 

 

市立の障害者通所施設「みずほ」と「おおぞら」の閉園後

民設民営で2016年にオープンした「みずほおおぞら」。

3階は高齢者、1,2階は障害者のフロアです。

 

 

 

高齢者のフロアには、

地域密着型特別養護老人ホーム(29床)と

短期入所(11床)、

看取りの際に家族が利用できる「よりそいルーム」など。

 

 

2階は障害者の居住施設21床、短期入所10床。

精神、知的など多様に受け入れています。

入居施設はすべて通過型で、

開設3年で21人中6人が

地域移行を果たしたそうです。

すごいです。

 

1階は、障害者の日中活動の場。

相談、生活介護、就労継続支援A型、B型、

一人暮らしに向けた体験用の「つながりルーム」など。

本格的なパン工房もあります。

 

 

おいしかったです♪

 

障害者事業の地域移行の実績には驚きましたが、

市内には2016年時点でグループホームが約70か所あり、

2020年までにさらに140人分の整備を進めているとのこと。

品川区の障害者グループホームが

ようやく11か所になったことを考えると

あまりの地域資源の違いに愕然とします。

ここは、力を入れなければ。

 

【滋賀県栗東市】

視察の最後は、滋賀県栗東市。

京阪神への通勤圏として人口増加が続き、

市民の平均年齢40歳、合計特殊出生率は1.98と

勢いのある市です。

高齢化率は18%で、品川区より低いですが、

介護予防に力を入れています。

 

 

栗東市では10年前から

「いきいき百歳体操」を取り入れ、

市内高齢者の約10%が参加しています。

しかも住民主導で実施し、予算はほとんどかかっていない!

活動を休止した団体は10年間で1つもない!

その秘訣を探りにきました。

 

まずは市作成のDVD。

歩くのもおぼつかなかったおばあちゃまが、

3か月体操した後は、小走りで登場!

あまりの変化に視察団からも歓声が上がりました。

参加者の80%程度が運動能力が改善しているなど

詳細なデータも示されました。

 

こうしたエビデンスと、自主グループによる仲間意識が

モチベーションを保っているようです。

 

 

高い成果にはもう一つ秘訣があると感じました。

栗東市では長寿福祉課に正規職員として

理学療法士さんがいるのです。

そして、効果的な体操を指導したり、

成果を分析して示したり。

専門職の力を取り入れるって、本当に大切。

人口7万人の市でも配置できるなら

品川区でも検討できないかな。

 

この百歳体操、

手足に重りをつけて行うことで筋力アップを図ります。

体力に応じて重さを変えられるのも

飽きない秘訣かもしれません。

最大2キロ、結構重いです。