来春、とり壊わしとなる青山劇場の広いステージを、リーダー名倉加代子以下90名を超えるダンサーたちがところ狭しとばかり埋め尽くした。

 

これでもか、これでもかとジャズ・ダンスの大波が客席に襲いかかってくる。名倉ジャズダンススタジオ第21回公演『Can’t Stop Dancin’2014』のフィナーレである。いつ果てるとも知らぬこの場面には、毎回、胸がわくわくするが、とくに今回はいつにも優る精気がほとばしり出ていた。

 

ふと目頭が熱くなったほどだ。

 

プログラム全体の淀みのない構成、24個あるセリを自由に使った演出、ともに完璧だった。青山劇場の複雑な舞台機構を自在に操れたのは、名倉とジャニー喜多川とふたりしか見当たらない。 

 

新たな創造性と上質のエンターテインメント性をこれほどバランスよく兼ね備えたジャズ・ダンス公演は、ほかに例がない、と私は断言する。

 

看板の「バイ・バイ・ブラックバード」を見ながらふと思った。もしかして名倉は、かのボブ・フォッシーを超えたのではないか、と。いや、これはいくらなんでも褒め過ぎかも。しかし、名倉にはフォッシーにはない女性ならではの優美さがある。数十人の大人数を扱わせたら名倉のほうが巧みにこなすように思える。

 

特別ゲストに高岸直樹(東京バレエ団)を迎えた「ボレロ」では、名倉の才能がジャズ・ダンスにとどまらないことが、明確に示されていた。椅子を小道具に使った振付のなんとお洒落だったこと。

 

意表を突かれたのは、これまた特別出演の五木ひろしとの共演だった。五木の持ち歌「契り」に合わせ名倉がソロで踊る。一見、異質と思われるふたりの芸域、芸風が巧まずマッチして、舞台に爽やかな風が流れた。

 

ジャズ・ダンス全体は、一時期ほど隆盛ではない。しかし、名倉加代子一党はますます健在だ。この公演も劇場を変え続けていくという。待ってます。

 
(12月11日~14日、青山劇場、11日所見)