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2018年07月03日(火) 19時51分02秒

ミュージカル・ナンバーの宝庫

テーマ:ブログ

 『エビータ』来日公演がいよいよ7月4日から始まります。海外カンパニーによる日本上演は初めてのことです。


 請われるままあちこちに紹介の文章を書きました。これもそのひとつです。
公演の成功を心から願って已みません。

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       不動のテーマ曲「アルゼンチンよ、泣かないで」

 

 久々に『エビータ』が見られる。嬉しい。劇団四季がなんどか日本版を上演してきたけれど、来演版は初めてだし。そしてなにより私のごひいきのミュージカルなのだから。

 

 ひいきの最たる理由。「アルゼンチンよ、泣かないで」という不動のテーマ曲があることだろう。昔はミュージカルが当たるか当たらないかは、観客が劇場を出るとき口ずさみたくなる曲があるかないかに掛かっているといわれたものだ。しかし、最近はそういう作品になかなかお目に掛かれない。

 

 改めてYouTubeでマドンナの歌うこの歌を聴いてみた。マドンナは映画化されたときの主演女優である。映画の場面を編集したもの、ブエノスアイレスでのコンサートからのものなど何通りかある。とくに後者、何人かのギター奏者を従えてのライヴ・ヴァージョンがいかにも南米風で、とても気に入った。

 

 ヒロインのエビータは、アルゼンチン大統領ファン・ドミンゴ・ペロン夫人だったエヴァ・ペロンである。一介の女優、歌手から美貌と策略でファースト・レディにまでのし上がった。しかも、癌のため33歳という若さでこの世を去る。これ以上に劇的な生涯を送ったヒロインはそうざらにいない。

 

 この作品は、ティム・ライス(作詞)、アンドリュー・ロイド=ウェバー(作曲)の手になる。そもそもの発端は、ライスがカー・ラジオで彼女にまつわるドキュメンタリー番組を聞いたことだという。

 

 ライスは、少年時代、切手蒐集マニアだった時期があり、コレクションのなかにエヴァの肖像切手を持っていて名前ぐらいは知っていた。それだけになにかぴーんとくるものがあったようだ。切手蒐集とカー・ラジオ。ミュージカルのネタってどこに転がっているかわからない。

 

           作品に深みを増す想像上のキャラクター

 

このミュージカルが大成功を収めた理由のひとつは、ライスが、ペロン大統領、エヴァと並んでチェという登場人物を創造したことにある。ペロン夫妻は完全に実在の人物だけれど、チェは想像上のキャラクターなのだ。キューバ革命の立て役者チェ・ゲバラがアルゼンチン生まれだと知って、ライスが生み出した人物像である。

 

 チェは物語の進行するなかで司会役のような役割を果たす。エヴァに対して好意的なときもあれば批判的なときもある。同様、エヴァの味方かと思うと、突然、敵に回る民衆に対しても常に皮肉な目を向ける。この作品が劇として深みを増したとすればチェという存在なしには考えられない。

 

 ことし3月22日、ロイド=ウェバーは70歳の誕生日を迎えた。今や『キャッツ』『オペラ座の怪人』の作曲家として世界のミュージカル界に君臨する巨匠だが、78年、『エビータ』ロンドン初演時はわずか30歳に過ぎなかった。それだけに音楽にエネルギーが漲る。

 

 このミュージカルの印象深い曲は、「アルゼンチンよ、泣かないで」だけではない。ほかにも私たちの胸に染みる曲が沢山ある。チェが皮肉たっぷりに歌う「オー・ワット・ア・サーカス」、大統領の愛する女が前の情婦からエヴァに入れ替わる場面での「アナザー・スーツケース・イン・アナザー・ホール」など。『エビータ』はミュージカル・ナンバーの宝庫といっていい。

 

ミュージカル『エビータ』

東急シアターオーブにて7月4日(水)~7月29日(日)

作詞:ティム・ライス/作曲:アンドリュー・ロイド=ウェバー/演出:ハロルド・プリンス/出演:エマ・キングストン、ラミン・カリムルー(日本公演限定キャスト)、ロバート・フィンレイソン、

アントン・レイティン、イザベラ・ジェーン、LJ・ニールソン、ダニエル・ビトン

料金(税込):S席13,500円、A席11,000円、B席9,000円、学生チケット6,500円

※生演奏、英語上演(日本語字幕あり)

[住]渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ11F

[問]Bunkamura 03-3477-3244(平日10:00~19:00)

 

               ({コモ・レ・バ?} Vol.36 Summer 2018より転載)

2018年07月02日(月) 19時16分15秒

西城秀樹唯一本のミュージカル 『わが青春の北壁』

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 西城秀樹が主演したミュージカルが1本だけある。私の知る限りその舞台に触れた追悼記事はひとつもなかった。今となっては見た人も少なくなったろうから当然だ。でも皆さん、「YOUNG MAN」でY、M、C、A、と歌うときのあのジェスチャアを思い起こして欲しい。ヒデキにミュージカルはよく似合うと容易に想像がつくのではないか。

 

 題名は『わが青春の北壁』。台本・作詞阿久悠、作曲・編曲三木たかし、振付山田卓、演出浅利慶太、宮島春彦。1977年7月5~28日、日生劇場。たったひとりで劇団四季のなかに飛び込むという勇気あふれる挑戦だった。

 

 そのときの全15曲を収録したLP3枚組みのアルバムが今も私の手元にある(発売元RVC)。特に断わり書きはないが、劇場での収録らしく客席の笑い声なども入っている。西城の堂に入った科白回しもたっぷり聴くことができる。今となってはきわめて貴重な資料である。

 

 阿久悠が西城に当てて書いた役柄はもと大学山岳部員の青年有光良。山登りへの執着を断ち切り、現在はナイトクラブでロック歌手兼ドラム奏者として脚光を浴びている。生活は自堕落のようだ。

 

 良には有名登山家の兄、洋(滝田栄)がいる。洋の妻夏子(久野綾希子)と良は実は密かに愛し合う仲であった。

 

 かたわら良は自分の身代わりになって山で遭難した仲間が気になっている。あのとき良が参加をとり止めていなかったらその男は犠牲にならなかった……。

 

 改めてアルバムを聴いてみて西城のナンバーの力強さに心打たれた。声に伸びと艶がある。歌いぶりに媚へつらいがなくて清々しい。

 

 タイトル・ナンバー「わが青春の北壁」初め、クラブ・シーンで歌う「セクシー・ロックンロール・バンド」「ソウル・ベイビー」などどの曲にも、今、挙げた西城の長所があふれ出ている。久野とのデュエット「兄がいた」「時は流れて」がこれまた捨て難い。デビューして僅か5年の西城にこれほど絶妙な息の合わせ方ができるとは!

 

 音楽面全般で三木たかしが優れた仕事をしている。前奏曲を聴いただけで質の高さが鮮明に伝わってくる。西城が才能を発揮できたのも三木あってこそ。

 

 当時、三木はアンドリュー・ロイド=ウェバー作曲の『ジーザス・クライスト=スーパースター』に心酔していた。西城のミュージカルへの思い切ったジャンプも、『ジーザス~』四季版を見たことがきっかけだという。

 

 ロイド=ウェバー~劇団四季~三木たかし~西城秀樹という連環には、まぎれもない70年代の風潮が感じられる。

 

 (オリジナル コンフィデンス  2018/6/25号 コラムBIRD’S EYEより転載)

 

西城が残したオリジナル・キャスト・アルバム。LP3枚組みのレアものです。

 

2018年06月22日(金) 10時39分22秒

ミュージカル・ナンバーの宝庫『エビータ』が40年ぶりに   〝復活〟上演

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請われるまま、またまたミュージカル『エビータ』について書きました。
6月17日朝日新聞朝刊広告面に掲載されました。

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                          (朝日新聞 2018年6月17日 掲載)

 

巨匠の名を不動にした作品の一つ

 

 世界でもっとも名の知れたミュージカル作曲家は誰?間違いなく『キャッツ』『オペラ座の怪人』のアンドリュー・ロイド=ウェバーだ。ならば、いちばん有名なミュージカル作詞家は?多分、『美女と野獣』『ライオンキング』のティム・ライスではないか。

 

 今でこそ別の道を歩んでいるが、1960~70年代、ふたりは名コンビと謳われ、次々、新作を世に送り出した。『ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリームコート』『ジーザス・クライスト=スーパースター』『エビータ』……。どの作品も曲、詞両面で〝若書き〟らしい清新の気にあふれていた。

 

 かたわら、ふたりは若者らしからぬ老練さも垣間見せた。とりわけ『エビータ』の堂々たる風格と来たら。78年、ロンドンでの世界初演時、アンドリュー30歳、ティム33歳でしかなかった。

 

 

優れた楽曲の宝庫

 

 『エビータ』のような第一級のミュージカルが生まれるためには、三つの基本的条件が満たされる必要がある。⑴柱となるべきヒーロー、またはヒロイン像。⑵起承転結を備えた物語。⑶複数の優れたミュージカル・ナンバー。とりわけ⑶の担う役割の大きいことは、いうまでもない。

 

 『エビータ』はミュージカル・ナンバーの宝庫だ。もちろん「アルゼンチンよ、泣かないで」が突出している。この力強い旋律がなかったら、ヒロイン、エヴァの激情は観客の胸に届くべくもない。チェの「Oh What a Circus」にはエヴァと彼女を支持する民衆への皮肉な眼差しが見てとれる。この2曲、同じ旋律なのに詞、編曲が異なるため、まったく別もののような印象を受ける。こういうトリックの妙味もお聴き逃がしなきよう。

 

 エヴァの最初の男マガルディの「On the Night of a Thousand Star」も甘美と感傷にあふれ捨て難い。

 

歴史的1ページの再現 

 

 『エビータ』がミュージカル史上燦然と輝く作品になり得たのは、ひとつにはベテラン演出家ハロルド・プリンスの〝見えざる力〟が働いたことによる。彼は作品が未完成のうちからアンドリュー、ティムに助言し続けてきた。今回はそのプリンス演出による初演版の完全復活である。

 

 40年前の歴史的一頁の再現に立ち合えるなんて!こんなスリリングな機会はそう滅多にあるものでない。            

 

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