アメリカ映画『愛情物語』は、実在した名ピアニスト、エディ・デューチンとその妻との美しい夫婦愛を描いた作品である。映画も当たったが、それ以上に主題曲の「トゥ・ラヴ・アゲイン」がヒットしたものだ。
パイオニア社長、松本誠也さんは先ごろ美恵子夫人の六十歳の誕生パーティーを開いたおり、この名曲に乗って玄人はだしの社交ダンスを披露した。
パートナーは、言わずもがな恵美子夫人である(ちなみに誠也さんは二歳歳上)。
ぴたりと息の合ったダンスぶりに、招かれた友人知人は嘆声を上げたが、夫妻で踊ったことは、かつて一度もないという。社交ダンスは、夫妻の共通の趣味だが、日ごろは技に磨きをかけるべく、共にプロの先生とばかり踊っているからだそうだ。
「この日はオーケストラを二つ入れて踊りました。ステレオ効果満点でしたよ」と長年の夢がかなったことに痛く満足している。
松本さんと音楽との接点は、単に社交ダンスだけではない。チャイコフスキー・コンクールから日本のオペラまでクラシックのスポンサーも買って出ている。音楽との付き合いは完全にボーダーレスである。
(追記)
松本誠也(1929~99)さんは、もとパイオニア社長・会長。在職中、ステレオ、レーザーディスクの開発と普及に大きな成果を挙げた。レコード会社ワーナー・パイオニア(ワーナーミュージック・ジャパンの前身)の設立にも力を尽くした。
なんどか酒席をともにしたが、明るい人柄でいつも座が楽しく弾んだ。その笑顔が懐かしい。
「トゥ・ラヴ・アゲイン」はCarmen Cavallaroで決まり。