加山雄三の辞書には老成という字は見当たらないようだ。その代わり青春の二文字が電飾に囲まれ、きらきらと輝いている。

 加山を中心にしたTHE King ALL STARSのアルバム『ROCK FEST.』(タワーレコード)を聴いてそう感じた。

 加山は力の限り絶叫し、激しくギターを掻き鳴らす。77歳にして青春の真っ只中にいるとは!これを奇跡と呼ばずして何をそう呼べるのか。


 加山以外のメンバーを挙げておく。キヨサク(MONGOL800)、佐藤タイジ(シアターブルック)、名越由貴夫(Co/SS/gZ)、古市コータロー(THE COLLECTORS)、ウエノコウジ(the HIATUS)、武藤昭平(勝手にしやがれ)、タブゾンビ(SOIL&"PIMP"SESSION)、高野勲、山本健太、スチャダラパー。


   アルバムは「SEE SEE RIDER」から始まる。逞しい歌いぶりでブルースの名曲の魂を見事に捉えている。音楽は彼にとってスターの余技ではない。各地のロック・フェスに積極的に出演しようとする姿勢がよくわかった。


 アルバムの中核をなすのは、曲、英詞とも本人の手になる(弾厚作名義)「Boomerang Baby」「Sweet of All」など4曲である。これらの曲の乗りと迫力は、加山が巧みに英語歌詞まで手掛けているからこそ生み出すことが出来たと思われる。


 つまり曲、詞、歌、演奏すべてが一体化しているんですね。


 4曲のなかには「I Feel So Fine」のように自らはエレクトリック・ギター演奏のみで、ヴォーカルは武藤昭平にまかしている曲もある。大スターならではの余裕か?結果的にはそれがアルバムの魅力を増幅させることに繋がっている。


 ボーナス・トラック「夜空の星」が私のような古い世代にはたまらない。作曲:弾厚作作、作詞:岩谷時子の往年の名コンビの名曲が、新しい編曲と演奏で出来立てのほやほやのように感じられるからだ(オリジナル編曲は寺内タケシだった)。


 天国の岩谷さんもきっと喜んでおられるでしょうね。


 なお、このアルバムの編曲は、全曲THE King ALL STARSが受け持っている。


 猛暑を吹き飛ばすにはこのアルバムの熱気しかない!


                             若大将のロックが雄叫びを上げる。


              1.   SEE SEE RIDER

              2.   未来の水平線

              3.   CRAZY DRIVING

              4.   Boomerang Baby

              5.   Sweetest of All

              6.   ブラック・サンド・ビーチ~エレキだんじり~

              7.   Cool Cool Night

              8.   I Feel So Fine

              9.   Misirlou

             10.ブレイブリー・ハーツ

              Bonus Track. 夜空の星