ボーイズ・レヴュウの一級品だと思った。まずスター歌手からアンサンブルまで、ひとりひとりの身体的表現がすこぶる高い。とり上げた楽曲が多彩を極める。それ故、それらの曲をもとに作り上げられた各場面も、変化に富んでいる。

 

 レヴュウは流れが瞬時たりとも停滞してはいけない。その点、場面から場面への転換が実にスムーズで、いやスムーズを超えてスピーディーでなんとも心地よい。

 

 見ながらハタと膝を叩いてしまった。

 「そうかレヴュウは女性がひとりも出演していなくたって、こんなに楽しい舞台が出来るんだ」

 

PLAYZONE  1986……2014 ☆ありがとう!~青山劇場☆』を見ての率直な感想である。

 

 PLAYZONEシリーズは、ことしのタイトル名でも明らかなように1986年から始まった。中心スターは、長年、東山紀之、錦織一清、植草克秀の少年隊が務めて来たが、少し前から今井翼、中山優馬、屋良朝幸らの若手にスイッチされ、今年で5回目を迎える。ことしの舞台の幕開きが「ダイヤモンド・アイズ」、ほかにも「君だけに」「What’s  your  name?」と少年隊のヒット曲が登場することで明らかなように、その系譜はきちんと守られている。

 

 ショウ・ビジネスは、もちろんその時々の旬のテイストに敏感でなくてはならないけれど、それと同時に過去の財産をどう受け継いでいくかもまた、重要な課題のはずである。伝統を重んじなくては生き馬の目を抜く世界では生き残れまい。その課題をきちんと踏まえているところにPLAYZONEの舞台作りの信頼性が感じとれる。

 

 もうひとつ、このシリーズを貫くショウ・ビズ哲学?は、この道の先進国アメリカへの敬意である。総勢20名がブラック・タイ姿で踊り歌う「SONG & DANC’N PART 」によく現われていた。ショウならではのわくわく感は、あの衣裳、あのダンスのスタイルに尽きると思われるからだ。

 

 ミュージカル『ア・コーラス・ライン』のなかで、演出家役のザックがダンサーたちに「30年代のスタイルで」叫び声を上げるあの場面を、私は思わず連想せずにいられなかった。

 

 今回の振付・演出は、ロサンゼルス・ベースで活躍するトラヴィス・ペイン、ステイシー・ウォーカーである。『ドリームガールズ』の振付家マイケル・ピータースの弟子筋に当たり、1999年以来、要所要所でこのシリーズに携わって来た。アメリカ人振付・演出家に思い切ってまかすところはまかせてしまう―これもこのシリーズの特色にちがいない。

 

 青山劇場とり壊しに伴い、この劇場の夏の風物詩PLAYZONEも消える。来年1月、同劇場でのラスト・ショウが企画されているようだが、ほかの劇場への引っ越しの噂はまだ聞いていない。

 

(オリジナル コンフィデンス  2014/7/28号コラムBIRDS EYEより転載)

 

                 パンフレット表紙より。



                劇場前のにぎわい。