この四月、NHKテレビのアニメーション番組のなかで流れた堺正章の「ぼくのこもりうた」は、一風変わった子守歌で、寝ようとする子供が自分自身に歌いかけるという体裁をとっていた。

 起用したほうは、堺のおちゃめなキャラクターを生かすのがねらいだったのだろう。あるいはバイリンガル・タレントの岡田美里と結婚した彼が、遅かれ早かれパパになる日のくるのを見越してのことだったのかも。

 いや偶然の符号というのはまったく恐ろしい。去年十二月、この話を受けたときは、夫人に妊娠の気配がなかったにもかかわらず、ことしに入って、いざ録音という段階になったら、赤ちゃんができたことがわかったというのだから。

 「実人生の体験を歌や役柄にどう反映させていくか。そういうことを真剣に考えていきたい」とマチャアキはいう。

 出産予定日はすぐ間近の十月六日。四十四歳にしてはじめて子供を持つとあって、毎日、落ち着かない。「ぼくも産休をとる」と宣言して周囲をあわてさせるあたり、いかにもコメディアンらしい。育児にどっぷりつかり、それをもとに子守歌を作曲すると張り切っている。
 (1990/9/13)

 (追記)
 堺の岡田との結婚は再婚だったが、2001年離婚、2010年、一般女性と再々婚した。