近く公開されるアメリカ映画『恋するリベラーチェ』は、実在したピアノ芸人(芸人ピアニストでもいいか)リベラーチェの伝記映画である。もしかして美輪明宏の先駆けじゃないの?と思わせる主人公のど派手ぶりに圧倒される(10月4日の当ブログ参照下さい)。
 
 実はこの作品についてひとつだけ腑に落ちないことがあった。宣伝文句に今年度エミー賞11部門受賞が謳われていることだ。

 なるほど<ミニシリーズ及び映画部門>で作品賞、監督賞(スティーヴン・ソダーバーグ)、主演男優賞(マイケル・ダグラス)など主な賞をがっちり押さえた上、合計11の賞に輝いた。

 でも、れっきとした映画(カラー/ハイビジョン/ドルビーデジタル、118分)なのだから、賞をもらうのならアカデミー賞ではないのか?監督ソダーバーグ、主演マイケル・ダグラス(他にマット・デイモン、デビー・レイノルズも出演している)とハリウッドのお歴々が顔をそろえていることだし。

 そこで、なぜこの見応えある作品がテレビ番組対象のはずのエミー賞なのか、ちょっと調べてみた。

 この映画、製作元がアメリカNO.1のケーブルテレビジョンHBOなんですね。米国ではテレビ放映のみ、劇場公開はなかったという。ただしヨーロッパでは劇場上映もおこなわれている。日本も間もなく。

 ソダーバーグ監督、プロデューサーらは、『恋するリベラーチェ』の企画をいくつかのハリウッド・メジャー・スタジオに持ち込んだが、軒並み断られてしまった。マイケル・ダグラスとマット・デイモンのベッドシーンが凄絶過ぎるからだと見られる。

 ハリウッドって意外に保守的なところがあるんですね。

 ところでHBOのキャッチフレーズをご存知ですか?It’s not just TV. It’s HBO.

 ケーブルテレビジョンがハリウッド顔負けの映画を製作してしまう。やはりアメリカ・ショウ・ビジネスは奥が深いなあ。

「恋するリベラーチェ」のマイケル・ダグラス(左,リベラーチェ役)とマット・デイモン(スコット・ソーソン役)。
$安倍寧オフィシャルブログ「好奇心をポケットに入れて」Powered by Ameba
© 2013 Home Box Office, Inc. All Rights Reserved
11月1日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー