イーストウッド監督の次回作が『ジャージー・ボーイズ』に決まった | 安倍寧オフィシャルブログ「好奇心をポケットに入れて」Powered by Ameba

イーストウッド監督の次回作が『ジャージー・ボーイズ』に決まった

 9月13日に予定されていたフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズのコンサートが、突如、来年1月18日に延期になった。私のような全盛期での彼等の活躍ぶりを知るオールド・ファンは、お預けを喰らったような思いで、いささかがっかりだったが、理由を知って、なるほどと納得せざるを得なかった。
 
アメリカ・ショウ・ビジネス事情に関心のある皆さんならご存知のように、現在、ブロードウェイで続演中の『ジャージー・ボーイズ』というミュージカルがある。2005年12月16日開幕、06年のトニー賞ベスト・ミュージカルに輝いた見応え十分な舞台である。
 60年代、フォー・シーズンズがいかにしてポップス界の寵児にのし上がったかを描いた伝記ミュージカルであり、同時に彼等のヒット作をたっぷりと盛り込んだジュークボックス・ミュージカルでもある。

 私は三度見て三度ともエンジョイした。
 
ちなみに、なぜ『ジャージー・ボーイズ』という題名がつけられているかというと、彼等のキャリアの出発点が、ニューヨーク州の隣のニュージャージー州であるからだ。
 そうそう、来日延期の理由でしたね。このヒット・ミュージカルが、クリント・イーストウッド監督により映画化されることになり、ヴァリが監督からその監修役を依頼されたためだという。

 ヴァリ本人にしてみれば、自分自身が中心に据えられた伝記映画が作られるなんて、一生に一度の出来事である。しかも監督がイーストウッドと来れば嬉しさ百倍だろう。映画を優先して当然にちがいない。
 
イーストウッド監督がミュージカル映画に手を出すのは初めてのことである。それが吉と出るか凶と出るか。

 もちろんイーストウッド監督は、背景音楽やテーマ曲の扱いでは人一倍優れた才能を発揮して来た。映画音楽を自ら作曲したこともある。その年齢からして60年代のアメリカを熟知している人でもある。映画の仕上がりを楽しみに待ちたい。
 
もうひとつ別のイーストウッドがらみの話題を。この9月、東京国際フォーラムホールAを中心に繰り広げられた『東京JAZZ』に、彼の息子カイル・イーストウッドの姿があったことだ。

 カイルはフランス在住のベース奏者、ヨーロッパからの四重奏団の一員としての来演だった。このグループ、ピアノ、ドラムス、ベース、サックスという編成で、その演奏は時代の先端を行く清新さにあふれ、力強い演奏のなかにヨーロッパ的洗練味を滲ませていた。

 カイル・イーストウッドは、作曲家として父の映画に何本か参加している。どこかジャズ雑誌あたりがインタビューしたかな。


『ジャージー・ボーイズ』のプレイビル。ブロードウェイの劇場で配られる無料のパンフレットです。
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(ORIGINAL CONFiDENCE 9/23号より転載)