アンディ・ウィリアムス、“月の川”に旅立つ | 安倍寧オフィシャルブログ「好奇心をポケットに入れて」Powered by Ameba

アンディ・ウィリアムス、“月の川”に旅立つ

 アンディ・ウィリアムスが、9月25日、ミズーリ州ブランソンで84歳の生涯を閉じた。ブランソンには、晩年の活動の拠点アンディ・ウィリアムス・ムーン・リヴァー劇場がある。

 アンディはこの田舎町から遥か天空の彼方“月の川”に旅立っていったのであろうか。

 もちろん、この劇場名は彼の最大のヒット曲の題名に基づく。といっても、そもそもの「ムーン・リヴァー」は、映画『ティファニーで朝食を』(1961)のなかで主演のオードリー・ヘップバーンがギターを爪弾きながら口ずさんだ曲で、彼の持ち歌ではなかった。

 この曲がアンディ・ウィリアムスと分かちがたいものとなったのは、彼がアカデミー賞授賞式で作曲者のヘンリー・マンシーニに乞われるまま、歌ったからだった。もしアンディが自分に書かれたものではないと駄々こねて歌わなかったならば、、、、。

 今更書くまでもないよく知られたエピソードだが、念のため。

 そんないきさつを経て、「ムーン・リヴァー」はアンディ・ウィリアムスの代名詞のようなヒット曲となる。テレビ番組『アンディ・ウィリアムス・ショウ』(62~71)のオープニング・テーマ曲としても親しまれた。

 追悼記事の見出しもニューヨーク・ポストとニューヨーク・デイリー・ニュースは‘Moon River’Crooner、ニューヨーク・タイムズはCrooner of ‘Moon River’とこの曲名を用いていた。

 この三文字か四文字でアンディ・ウィリアムスという歌手のすべてが云い表わされてしまうんです。

 ところでクルーナーとは?

 甘く優しく囁くように、とくに女性ファンの胸をとろけさせてしまうように歌うことをcroon、その唱法をわがものとしている歌手をcroonerと呼ぶ。

 元祖はビング・クロスビー(1903~77)、そして、その伝統をしっかり受け継いだ最後の大スター歌手がアンディ・ウィリアムスであった。

 日本ではディック・ミネからフランク永井への系譜であろうか。日米ともロックが主流となって以降、“絶滅品種”となりつつある。

 アンディ・ウィリアムスは、「ムーン・リヴァー」にとどまらず映画主題歌との関係が深い。以下、アルバム『The Best of Andy Williams Hits』(ソニー・ミュージックエンタテインメント)から、めぼしい曲をピックアップしておく。

 「夏の日の恋」(62)
 「酒とバラの日々」(63)
 「シャレード」(64)
 「ある愛の詩」(71)
 「ゴッドファーザーの愛のテーマ」(72)
 、、、、、、
(続く)
http://www.andywilliamstheatre.com/

主な映画主題歌の入っているベスト・アルバムです。
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