突然、劇団四季のステージに、「時の流れに身をまかせ」「津軽海峡・冬景色」が流れる。30名近い出演者全員による大熱唱!

 上演中の『劇団四季ソング&ダンス The Spirit』のフィナーレである。

 四季ってフランス現代劇がルーツで、今やブロードウェイ(あるいはウエストエンド)ミュージカルの最大手ではなかったの?

 『ソング&ダンス』シリーズは今回で5回目になるが、劇団四季風レヴュウといったらいいのかな?物語の筋はなく、各景とも歌と踊りのみで作られている。

 これまでのこのシリーズは、四季の主な演目を中心に様々なナンバーが選ばれ、構成されて来た。

 ところが今回の第2部はなぜか“三木たかし追悼”なんですね。それで「時の流れに」「津軽海峡」ということになったわけです。

 世間的にどこまで知られているのかわからないが、三木たかしさん(1945~2009)と劇団四季の因縁はかなり深いものがあった。

 四季のオリジナル・ミュージカル“昭和の歴史三部作”や『ユタと不思議な仲間たち』『夢から醒めた夢』など、すべて三木たかし渾身の作ですからね。

 四季は“洋”の劇団という印象が強いが、“和”も意外にマッチする。今回の舞台はそのことを証明したかのよう。

 楽器に和太鼓、三味線、小道具に扇子、刀が用いられていたが、うまくこなしていた。

 丁半の鉄火場のシーンも出て来たが、やけにサマになっていた。

 日本人は日本人がよく似合う。

 実を申すと、かくいう私もフィナーレの「津軽海峡」にぐっと来た。見るほうも日本人なんだなあ。

 『ソング&ダンス』は、目下、四季劇場[秋]で上演中。企画浅利慶太、構成・振付・演出加藤敬二。


http://www.shiki.jp/


三木たかしさんの遺影が映し出されます。
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和のダンスと音楽。
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撮影:荒井健