映画『ゴーストライター』と“キネ旬”の批評 | 安倍寧オフィシャルブログ「好奇心をポケットに入れて」Powered by Ameba

映画『ゴーストライター』と“キネ旬”の批評

 ロマン・ポランスキー監督最新作『ゴーストライター』は、観客に次々と謎を突きつけ、1秒たりとも飽きさせない。

 映画のなかでその謎の解明に体当たりでぶつかっていくのは、前英国首相(ピアース・ブロスナン)の回想録執筆を依頼された匿名作家(ユアン・マクレガー)である。

 除々に明らかにされるのは、米英両政府が関与する国際的陰謀だった、、、、。

 ところで、権威ある「キネマ旬報」9月下旬号に菊地成孔(ジャズ・ミュージシャン、文筆家、作曲家)、椎名誠(作家)、巽孝之(慶大教授、アメリカ文学)の3人がこの映画を論じているのだが、いずれもキネ旬にふさわしからぬアマチュア批評で呆れ果てた。

 菊地氏。例によって独善的で下品極まる悪文。「全く被害妄想マゾ的なリビドーを持たない。」とか「車の加速度は、ナイフもしくはペニスを持つ手の速度そのものであり、」とか。

 ラストをばらすルール違反まで堂々と犯している。

 椎名氏。ただ筋書きを書いただけ。しかも尻切れとんぼと来た。

 巽氏。他のふたりにくらべたらずっとましか。

 「アメリカが旧宗主国イギリスを追従させているどころか、まったく逆に、ヨーロッパという亡霊のほうが、いまもアメリカに取り憑き続けている」という結論で締めているのだが、唐突でよくわからなかった。

 この映画で私がいちばん気になったのは、ブレアがモデルという英首相が野暮で、むしろレーガン大統領に見えたことでしたよ。



匿名作家を演じるユアン・マクレガー。
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