たけしとジャズと新宿と | 安倍寧オフィシャルブログ「好奇心をポケットに入れて」Powered by Ameba

たけしとジャズと新宿と

 アルバム『たけしとジャズ』(ユニバーサルミュージック)がリリースされた。 CD2枚組み、モダン・ジャズの名曲27曲が詰め込まれている。

 たけしは、1967年から5年間ほど新宿を根城にジャズ喫茶で働いたり、タクシー運転手をしたりしていた。そのころこの街はモダン・ジャズの発信基地で、彼もその影響を受けたようだ。

 タクシー運転手の時期、セロニアス・モンクを乗せ、売り上げ伝票の裏にサインをもらった。でも営業所に戻りその紙を提出せざるを得なかったため、今、手元には残っていないそうだ。(同アルバムの新村千穂のライナーノーツ)

 よく知られた名演奏が、惜し気もなく、いやむしろ恥ずかし気もなくずらりと雁首をそろえている。マイルス・デイヴィス「死刑台のエレベーターのテーマ」、ビル・エヴァンス「ワルツ・フォー・デヴイ」、ソニー・ロリンズ「モリタート」など。もちろんヴォーカルものも。

 クレジットにはCompilation Supervised by Takeshi Kitanoとある。お飾りとまではいわないが、Supervisedというのがちょっと臭い。どこまでたけしが選曲に携わったのか?

 先のライナーノーツのなかでたけしは、当時の新宿のジャズ喫茶の客に対し、こう毒ついている。

 「小難しい話をしたり、通ぶった曲をリクエストしていたあなた達、本当はここにあるスタンダードな名曲こそ、聞きたかったんだろ。」

 だったら、たけしよ、客たちがどんな曲をリクエストしたのか具体的に曲名を挙げてもらいたい。
同時にここに選ばれた曲がなぜ好きなのかも明確にして欲しい。

 たけしと新宿とジャズの結びつきが、なぜかすとーんと腑に落ちない不思議なコンピレーション。税込み3,200円。



たけしの選曲というふれ込みです。
$安倍寧オフィシャルブログ「好奇心をポケットに入れて」Powered by Ameba