ふつうの精肉店では、さまざまな牛肉、豚肉が切り分けられて、ガラス・ケースのなかにずらりと並べられている。ここ大田屋ではその光景は見られない。

 来店した客が「ポークのロース、130グラムのを2枚」と注文すると、店主の大田定一さんがうしろを振り返り、でーんと鎮座ましますプロ仕様の大型冷蔵庫から豚ロースのかたまりをとり出し、切り分けてくれる。包丁7種。その手さばきの軽やかなこと。

 大田屋は、明治初年、もともと武家だった初代がこの地で創業した老舗である。三代目の定一さんは、昭和34年、18歳で店に入り、以来この道一筋という。

 地下鉄半蔵門駅近く、新宿通りという大通りに面しながら、今どきビルじゃなく2階建てというのもめずらしい。

 すき焼き、しゃぶしゃぶ用の牛肉を頼んでも、スライサーを使わず、一枚々々、包丁で切ってくれる。ハンバーグ用の牛、豚肉半々ずつの合い挽きも、注文を聞いてから。都内でほかにこんな丁寧な仕事ぶりの店ってあるだろうか。

 しかも値段は良心的で、100グラムそれぞれ、牛イチボ(もも肉)945円、豚ロース273円、牛豚挽き肉上326円。

 私が来客用にローストビーフを作るときはここの店の700円くらいのところを使っています。


大田屋、千代田区麹町2-3
電話03(3261)9635

http://local.goo.ne.jp/all/shopID_nttbis-13-2019/


こんな店がまえ
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