きのうに引き続き『コーラスライン』の話題を―。1986年新宿コマで浩宮様(今の皇太子殿下)のお隣りに解説役として陪席させていただいた来日公演では、まだ字幕はなくイヤホーンだった。英語にご堪能な殿下はお使いにならなかったと記憶する。しばしば私のほうをご覧になり、笑い声を立てておられた。
 幕が下がってのち、舞台に整列した全キャストから熱烈な歓迎を受けられたが、ひとりの女性ダンサーがいかにもヤンキー・ガールらしく「殿下、私の楽屋でビールいかがですか」と叫んだのには、おそばにいた私のほうが驚いてしまった。殿下はさすが落ち着いたもので、彼女のほうを向き、にっこり笑顔を返されていた。
 舞台裏から正面玄関のお車まで殿下のお伴をしたが、「ほんとうは楽屋にいきたかったのですよ」と冗談のようにおっしゃられたのが、今も印象に残っている。
 なんというユーモア感覚。このひとことをお聞きして以来、私はずっと殿下の熱烈なファンである。


             1986年の来日公演パンフレットより
                  (ドナ・マケクニー)
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                 マケクニーの自伝です
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