今、あれほどおとなの女の色気を歌に滲ませることができる歌手はいるだろうか。夫、郷鍈治と死別してのち、ちあきは自らの歌声を完全に封印してしまった。熱烈に彼女の再登場を望む声は常にそこここで渦巻いているのだが、本人は姿を消したままである。
 週刊新潮6月30日号所載、3頁にわたる“宍戸錠が語る「ちあきなおみ」との19年の断絶”は、ひときわ声高に語られたカムバック待望論である。郷は宍戸の実弟、ちあきはその女房だったわけだから、宍戸は彼女の義兄に当たる。それだけこの近い身内からの待望論はひときわ真に迫るものがある。
 「もう63歳だろ。2年後に死ぬか、20年後かわからないけど、歌うべきだ。それほど鍈治を愛していたなら、やつのためにレクイエムを歌えよ。」
 ちあきが抜群の歌唱力を発揮するのは歌謡曲だけではない。ジャズ、シャンソン、ファドなんでも来いだった。20年近くも歌っていなくて大丈夫?と心配する向きもある。しかし、私は、彼女なら明日からだってステージに立てると信じて疑わない。
ちあきよ、隠れんぼはいい加減にやめようよ。



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