阿部友子 -23ページ目

ワイルドの墓

 エデット・ピアフ、ビゼー、ショパン、マリア・カラス、サラ・ベルナール・・・そうそうたる有名人の冥るパリ郊外の墓地、ペール・ラシェーズ墓地に行ってきました。

 私の目的は作曲家ショーソンとオスカー・ワイルドのお墓参りです

 ワイルドは、アイルランド出身の詩人、作家、劇作家です。
耽美的・退廃的・懐疑的だった19世紀末の旗手のように語られ、多彩な文筆活動をしましたが、男色を咎められて収監され、出獄後、失意から回復しないままに没しました。

 有名な作品は、絵本になっている「幸せな王子」、怪奇小説「ドリアン・グレイの肖像」、戯曲「サロメ」、「真面目が肝心」、「ウィンダミア婦人の扇」等。 中でも「幸せな王子」は私の心の教科書。不器用なくらい美しい生き方を追求する「愛」に感動し、読み返す毎に涙します。逆説的でアイロニーに満ちあふれたワイルドの文学ですが、本当は純粋で、とても不器用に本当の愛を追求した人だと信じています。。。

 さて、お墓です。ワイルドは失意のままパリに没したといわれますが、彼の愛は作品に生き続け、異邦の地に冥る彼の元には日々、彼の賛美者が参拝します。無数のキスマークが有翼の男性裸像の墓石に。私もキスしてこようとしましたが、ガラスの被いが割と高く、お隣のお石に登らないと到底無理・・・。ここは日本人らしく謙虚に引き下がりました。

 よくみると有翼男性像の大事なところが・・・へし折れ?・・・持ち去られている・・・?
・・・熱烈な崇拝者に・・・。

 愛の伝道師、さすがワイルド様。