安保闘争の年、1960年に刊行されている。ある意味で信頼に耐える党史であろう。
南牛は数ある日共の歴史書の中で、これは読むに値すると考える。その理由は、六全協の捉え方であった。
南牛の日共党史は、不破哲三や志位和夫を描くというか、萩原遼が低く見た志位和夫や、ライバル関係にあった不破哲三を問題視しない。
NK会で眼の色が違う、あれは純粋の日本人ではない、と述べていた羅南駐屯19師団の有力隊員の息子の言葉が思い出される宮本顕治を描くことである。
NK会の会合ではよく司会を務めていた新聞記者さんだが、宮本顕治の死亡記事を準備している、と語っていた。
彼に宮本顕治は純粋の日本人では無い、と断定させた理由を聞きそびれている。
田川和夫は六全協を迎える日共幹部の動静をよく観察している。
南牛の宮本顕治論は田川和夫の視点を借りる事から筆をすすめる。