木村光彦「北朝鮮の食糧生産」(菊池嘉晃研究-7) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

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会津の書庫を整理していたら『現代韓国朝鮮研究』誌の13号の別刷りが出てきた。この木村光彦教授の労作だが、南牛の集めている資料の大半は使われていない。一方、参考文献に挙げられている資料の大半に南牛は目を通していない。しかし菊池嘉晃君の仕事を見る限り、余り重視されていない。

「帰国事業」に置いて、北朝鮮の食糧問題解決の為の人材を求めた事は考えるに値する。木村光彦教授の労作は北朝鮮の食糧生産の隘路を語っているのだが、隘路があるから北大農学部に人材を求めた事をきちんと書くべきであったろう。

朝鮮総督府は南北に二つの農事に関わる研究機関を設置した。南部の水原には九大農学部、北部の沙理院には北大農学部との関りが深かった。そこが帰国事業で九大卒より、北大卒が重視された理由である。少なくとも、左派社会党の領袖の和田博雄代議士はそう言うことを熟知して北朝鮮の稲作事業への支援を行っている。

菊池嘉晃君の『帰国事業の研究』には、和田博雄代議士の果たした役割が記述されてない。付け加えれば、「帰国事業」においてどの分野の研究者が、帰国したかを記述した参考文献の引用例が見付からない。