佐藤勝巳「日朝関係把握の問題点」(朝鮮研究-171) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

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特集「明治百年とと朝鮮」にて佐藤勝巳が「国会の日韓論議にあらわれた日朝関係把握の問題点」を『朝鮮史研究会論文集』誌上に寄稿している。この寄稿文で佐藤勝巳が述べている論理は、はっきり言って贖罪史観である。如何にその重要箇所を引用して置く。

「現在のわれわれと朝鮮民衆の置かれている関係、つまり、日朝関係を客観的にどうとらえるかということに一つはかかわってくる。わたしは、過去も今も、われわれは加害の立場にたっていると理解している」

これをこの後、30年後に佐藤勝巳は真逆の立場にたっているのだ。何が佐藤勝巳を変貌させたのだろう。

さらに佐藤勝巳は断言する。「朝鮮」を日本人の見る目が「支配者の目、加害者であることの無自覚であった」と、贖罪史観に立脚して断言する。

ここで佐藤勝巳は、自身を朝鮮問題の「研究者」だと自己規定しているが、佐藤勝巳の生涯を貫いたモノ、それは朝鮮問題の「運動家」であったという事だろう。

佐藤勝巳ほどのアジテーターは少ない。偉大なるアジテーターであった。