密命(つくば市政展望-225) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

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密命を受け、潜入した隠密を描いた藤沢周平の小説を読むと、深い感動を受ける。

萩原遼が日共の宮本顕治党首の密命を受け、ワシントンに潜入する。その潜入工作は、橘孝三郎の甥の立花隆が明らかにしている。萩原遼がワシントンの国立公文書館で何を調査したか?それを正確に立花隆は見ている。私は、萩原遼からの切れ切れの話で、戦前の日共内の朝鮮人党員の動きを記録した内務省の記録を調べていたことを知る。内務省の記録類はGHQが押収し、国立公文書館に保存している。

幕府隠密の潜入対策に各藩は追われる。隠密は見つかった場合、死を選ぶしかなかった。その骨、誰も拾わず、が密命を受けた隠密の運命なのだった。

南牛は、県史編纂の塙作楽室長の密命で渡辺安重県議の下へ入る。その南牛を渡辺安重県議は桜村との合併へ向けて、桜村の藤沢勘兵衛元村長の下へ潜入させる。

当に、その骨、拾わずの世界へ入ったことになる。

塙作楽も渡辺安重県議も亡くなっている。南牛の骨を拾う人はいなくなってしまった。