小田急線車内での切り付け事件、一昼夜たってみれば、思いのほか深刻な事件であることがわかりつつある。 対馬悠介は火をつけるためにサラダ油を撒いたというが、 大量殺人の意図があったと言っており、この男がもしバイクを所有していれば、ガソリンが用意できた はずで、大変なことになっていた。

 

ところで、対馬の住むアパートだが、文芸春秋のサイトで写真が載っているのを見て、Google地図とApple純正のマップアプリを駆使し、居所が判った。 ヒルサイド西生田というアパートだが、僕はこのアパートの前の道は2回ほど通ったことがある ので、この辺の地形だとか、住宅地としての雰囲気はわかっている。 駅から遠くはないとはいえ、周りは坂ばかりで、道が狭く車も入りにくい。 陸の孤島と言う感じで、言っちゃ悪いがあまり良い場所柄ではない。

 

このアパートから小田急線のちょうど反対側に、一昨年6月に登戸で カリタス学園学童に対する殺傷事件を起こした岩崎の住んでいた家がある。 この家も僕は見に行ったことがある。ここは一見すると閑静な住宅街なのだが、 まわりからは孤立した高地にあり、陸の孤島という性格がさらに強く、やはり特殊性の高い場所柄だと言える。

 

この岩崎と対馬の間には共通点がある。 両者ともあらかじめ明確な犯意を抱き、最寄り駅の 読売ランド前駅から電車に乗って、岩崎は登戸駅で降りて凶行に至り、対馬は登戸から快速急行に乗り換えて事件を起こした。

 

また、両人とも、不本意に社会との濃密な接触を強いられたことが、犯行のトリガーになっている。 岩崎は叔父夫婦に同居する長期の引きこもりであったが、叔父夫婦が介護保険サービスを受けることになり、そのためにケアマネージャーとか介護のスタッフが家に出入りするようになった。 それで、そこに同居している岩崎に、あなたはどうするのかみたいなことを言ったらしいのである。それがあの暴挙のきっかけとなったのは、ほぼ明らかだと思う。

 

対馬は仕事をしていたのだから、引きこもりではないが、犯行当日の昼間に新宿で万引きをして警察に通報された。 逮捕勾留には至らなかったが、刃物の不法所持の件で後日警察に出頭することになり、その上、自宅確認のためにパトカーで自宅まで送られた。それが異常な精神状態を招き、 犯意を固めたとも考えられる。

 

追記:対馬がパトカーで送られた時の映像がある。降ろされた位置は自宅アパートの前ではなく、アパート脇から急な坂を上がったところの道路(ラークヒルの前)。アパート前は道が狭すぎて、パトカーのような大型乗用車は入りにくい。それとも、自宅直付けは避けるという配慮があるのか?