さあ……後半に入りました
今回は少し短めです

このお話 主演はもちろん中川大志くん
友里奈は?浮かんでも浮かばなくても🆗です
私は天海祐希さんで書いています
もちろん読んでくださるあなたでも……🤗


第四話 お別れの予感

ユズは図書館で借りてきた漫画を一気に読んだ 

正確に言えば絵を見ていった
所々に出てくる漢字を見ては
おや?これは?
わからない文字もあるが見覚えのある文字
そして絵
それを順番に見ていくと 話も少しだけわかった
これは……なんなんだろうか
源頼朝という名前は覚えがある
それから平清盛……この2人は
互いの本に出てくるし関わっているのだろう

一日の終わり 0時を迎えた

長い一日だったなあ ユズの初仕事の日だった
友里奈はノートを開いてユズを待った

ユズは疲れた顔をして戻ってきた
「まいりました……」
「どうしたの……?」
「さっきまで見ていたあの……」
「漫画ね……例の」
「あの絵と同じような人たちがたくさん
次から次へと……僕の前にやってきて でも一分間でよかったです 疲れました……」
ユズが「疲れた」とか「まいりました」などと口にするのは初めてだった
(そうなのね 詰め込みすぎかしらね)

「ユズの頭の中に 情報がたくさん入ってしまったかもしれないから 歴史漫画は一旦お休みしようか」
はい…と 素直なユズだが混乱している様子
何か強く思い出したのだろうか

(ユズは……エキストラどころか俳優?
時代劇に多く出ている記憶なのかしら
でも……俳優がいなくなったら……現場は大慌てのはずよね)
ユズがソファで寝息を立てるのを見て 
自分もベッドに横になったが
それからも 検索の指は止まらなかった
『俳優が行方不明……』『役者の○○ 一時休養……』といったニュースは何もなかった
無名の役者?あのルックスで?
学生のエキストラならともかく 本職ならねぇ……無名のはずはないわ…
友里奈はスマホを閉じ そして目も閉じたが なかなか眠りにつけなかった


そしてそれからの日々
午前0時にユズが思い出したことといえば
曜日……何も見えなかった数十秒 最後に聞こえた一言が「まさこさん」
それは自分の声なのか 誰かが呼んだ声なのか

「その名前はあなたのお母さんかな…それとも ん……彼女かしら…」友里奈の問いに「いえ……」とつぶやきながら首を振るユズ
(そうね……その名前はZ世代にはなかなかないわ)
友里奈はノートに『まさこさん』とだけ記した
まさこさんとは政子なのか……源頼朝と夫婦になった北条政子か?と気づいたのは翌朝目覚めてからだった
ユズがそれを伝えると 友里奈も「私もそれ……思い出してた さっきね」と早速ノートを開いた

曜日……馬に乗り 弓を引いて同じような男たちと一緒にいる自分がいたという 仲間の一人がうさぎをしとめて それを称えている自分がいたのだと

「それはやはり撮影をしてたのかしら どんな格好だった?最初に会ったときのように鎧をつけていたの?」
「いえ…鎧を脱いだ時の……そこに頭に何かかぶり…
この辺に何か巻いて……」
ユズは腰のあたりに何かを巻くしぐさをした

(戦のシーンではなく 狩りのシーンってことか
この辺から調べれば何のドラマかわかるかも……)
友里奈は細かいことまで全てメモをした

曜日……前日と同じように馬に乗っている 今度は鎧をつけていた 矢が飛んできてそれをよけて……「謀られた!」と叫んだ自分がいた

「それ……戦のシーンの撮影かな…兜は?」
「兜は……なくて…何もかぶってなかったような…」
やはりユズは 何日間か撮影をしていたのね
でも これが確かならやはりエキストラではないのだろうな 
何日か前と同じようなことを思う
俳優なの?だけど知らないわ……こんなに美形の俳優なら無名なんてわけはない……

曜日……とうとうその日がきた 大きな一歩かもしれない いや一歩どころではない
ユズがベッドルームからのほんの数メートルを小走りでやってきて
自分でも驚きを隠せない顔で告げた
「名前を思い出しました いえ 浮かんだのですが 
それが自分の名前かどうかは…」
そして告げた名前は 畠山重忠だった
「え?畠山?」
「はい… 畠山重忠です」
ちょっと待って……その名前 どこかで聞いたわ
ん……武士の鏡を渡した時の翔平が確か……
深谷の畠山推しと言ってたわね
重忠は忽然と姿を消し 書物にも途中から記載がないと言っていた
教科書には載っていないけど 深谷では偉大な武士なんだ……そんなことも言ってたわ

すぐに翔平にラインをした
寝ているかもしれないけど 目覚めたらすぐ見られるように…
待つ間 黙って何を思うのか ユズは伏し目がちにじっとしている

「ユズ それはあなたの名前?それとも映画かドラマかの役の名前なのかしら」
「石橋山の……戦がどうとか そして誰かが私に向かいその名を呼んだのです 畠山重忠と」

「わかったわ……
ユズ 明日 私の元夫がここに来る 今返事がきたわ 
あなたと話がしたいんだって」
「僕と……話を」
「そうよ 私よりその……畠山重忠に詳しいの
ともかく 今日はもう寝ましょう」
はい と声にならない声で返事をし ユズは大きく頷いた そしてソファに横たわり目を閉じた

ここに来た夜…… 一週間前ね
ユズは鎧を脱いだ直垂のままでリビングの床に朝まで寝ていたわ
ソファで眠るのもやっと慣れてきたのに……

役名がわかるなら……すぐにたくさんの情報がわかるだろう
いえ……それより ユズの記憶は……きっと
凄いスピードで蘇りそうな気がする

別れの日がそう遠くないのを思って
寂しさを微笑んで紛らわす友里奈だった

目を閉じ この一週間を思い出す

クラブ活動で 子どもたちにキャーキャー言われながら
ボールを蹴っていた姿
花壇整備の作業もかってでてくれて汗だくになっていた姿
もっと学園にいてほしかったわ
それは見かけばかりじゃない
ユズの実直さ 礼儀正しさ 物腰の柔らかさ
皆 あなたと接すると温かい気持ちになるのよ

今の仕事が好きな友里奈だが
長年続けてくるとマンネリになってくる
そこに鮮やかな彩りが添えられた日々
楽しかった一週間だった

サヨナラはつらいけど……
でも 本来の場所に戻るのが ユズの幸せ
友里奈は寂しさをこらえ前向きになろうと思った

つづく