こんばんは
ほぼ1年ぶりの記事になります。
1年続いた長い冬もやっと終わりつつありますね。
(比喩なのか、ジョークなのかどちらにも取れる文だなあ。)
とりあえず無事に生存しています。 ハイ (^_^;)
いかめしく感じる(?)記事のタイトルですが、
おそらくそのとおりかもしれません。
まあ、たまにはいいかなあということで・・・・
理系以外のかたには、わけわかめの世界になると思いますので、
気にせずにスルーしてくださいませ。
**** かな~りの長文になりました。****
フーリエ変換は、世の中にフーリエ変換器というものが
存在いていて、
アナログ入力信号をスイープ信号とミキシングして
直流分のレベルを表示するスペアナや
入力信号を周期波列とみなせる処理(window処理)をして
これを離散フーリエ級数展開して表示する
いわゆるFFTスペアナがあります。
このおかげでフーリエ変換のイメージはなんとなくつかめます。
それに対し、
ラブラス変換器というものは私の知る限りなさそうです。
必要性がないためなのか・・?
そんなわけで、厳密性は気にせずにラプラス変換について
つらつら考えてみたことを思いつくままに書いてみます。
まずはラプラス変換F(s)の定義式です。
∞
F(s)=∫f(t)exp(-st)dt
0
時間tの関数f(t)を複素数sの2次元領域に変換します。
ここでsは一体何もの?という素朴な疑問が出てきます。
実態がよくわからないので、せめてsの次元くらいは
知っておきたいものです。
exp(-st)は無次元でなければならず、
当然stの次元も無次元。
tは時間なので、
sは(1/時間)の次元でなければならないことがわかります。
余談ですが、
exp()の中の式を次元解析して
色々な式の次元を確認することができますね。
例えば、
f(V,T)=exp(eV/kT)
e:電荷:クーロン、
V:電位:ボルト、
k:ボルツマン定数:ジュール/°k、
T:温度:°k
の式で、exp()の中は無次元なので、
分母と分子の次元は同じ。ということで、
e・Vはエネルギー(=ジュール)の次元というのが
わかります。
単位名が増えてくると(特に電気系は多いのですが)
どの次元かわからなくなりますね。
このように見慣れた式から次元を確認できます。
では、話をもとに戻して・・・
簡単なものを例にして考えるのがよさそうなので、
まずは3種類の時間の関数を例にします。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230222/05/abcd-zzz-1234/8a/87/p/o0483041315246285235.png?caw=800)
図1 3種類の時間関数
図1は横軸が時間tで、縦軸が信号(実数)です。
ラプラス変換はt<0のときはf(t)=0とします。
(以後、この条件の記述は省略します。)
まず、図1の①はt>=0のときは常にf1(t)=1の
いわゆる単位ステップ信号ですね。
教科書では普通ここで終わるのですが。
あえて指数関数で表現すると②、③との関係を考慮して
f1(t)=exp(±t/∞) = 1
となります。
時定数 T1 = ∞ と考えれはいいですね。
±は増加関数あるいは減少関数のどちらで考えるかの違いです。
②はt=0のとき1から始まる指数関数で、
時間とともに減少する関数で、
f2(t)=exp(-t/T2)
と表すことにします。
ここで、T2は正の一定値で時間の次元であり、
よく知られているように時定数と呼ばれます。
さらに
③はt=0のとき1から始まる指数関数で、
時間とともに増加する関数で、
f3(t)=exp(t/T3)
と表すことにします。
ここで、T3も正の一定値で時間の次元であり、
これも一般的に時定数と呼ばれるのかは知りませんが、
ここでは時定数と呼びましょう。
①から③の時間関数を定義通りにラプラス変換します。
① f1(t)=1
∞
F1(s)=∫f1(t)exp(-st)dt
0
∞
=∫1・exp(-st)dt
0
∞
=∫exp(-st)dt
0
∞
={ exp(-st) / (-s) }
0
= 1/s
となります。
同様に計算をすると
② f2(t)=exp(-t/T2)
F2(s)= 1/( s + (1/T2) )
② f3(t)=exp(t/T3)
F3(s)= 1/( s - (1/T3) )
となります。
これをなんとかグラフ化して目に見えるようにしたい・・・
ところが、
89+sは複素数なので当然、F1(s)~F3(s)も複素数になります。
さあて、どないしよう・・・・:?
では、ここで若干コーヒーブレイク(?)
話題を、
おそらく中学の数学で勉強したであろう双曲線関数に変えます。
式は
① y=1/x 一番簡単で基本的な関数です。
② y=1/(x+10) ①をx方向に-10だけ移動しました。
③ y=1/(x-10) ①をx方向に+10だけ移動しました。
これをグラフで表現すると次の図になります。
Xは実数なので簡単にイメージできますね。
ここでの注目点は、式の右辺の分母が0になり、
左辺yが無限大に発散するときのxの値です。
このxを特異点または極と言います。
①から③の場合、順にx=0,-10,+10になります。
xが極に近づくとyは次第に大きくなり
(近づく方向で±の符号は違います)、
逆に遠ざかると±0に漸近します。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230222/04/abcd-zzz-1234/b8/68/p/o0479038415246285193.png?caw=800)
図2 3種類の双曲線関数
これらを頭に入れて
双曲線の式とラプラス変換した式を比べてみると・・・・
定数の値が違うだけで、形は同じように見えますね。
というか、実数か複素数だけの違いだけ。
多分、複素数でも同じ形になるのでは?
と類推できそうです。
ということで
ラプラス変換した①の式 F1(s)=1/s をグラフ化したものが
次の図3です。表計算ソフトのエクセルを使ってみました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230222/05/abcd-zzz-1234/e7/47/p/o0604037815246285211.png?caw=800)
図3-1 実部
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230222/05/abcd-zzz-1234/f7/68/p/o0613036215246285202.png?caw=800)
図3-2 虚部
変数sが複素数なので実数と虚数になり、
実軸(茶色)を「Re:σ」、虚軸(緑色)を「Im:jω」とする
2次元の平面になります。
また、F(s)も複素数なので、
これも実部と虚部のふたつ(2枚)のグラフになります。
各々の値をフレーム状に表現し,
その値がグラフの高さになっています。
複素座標の原点で無限大に発散し、
遠ざかるとほぼ0になる双曲線関数のグラフy=1/xに
よく似ているのがわかると思います。
計算は次のように行いました。
s = σ + jω
と実部と虚部に分けます。
σ(シグマ)、ω(オメガ)はそれぞれ実数です。)
j は虚数単位で j^2=-1 です。
数学屋さんは i を使いますが、
電気屋さんは i を電流として使うので
次のアルファベットの j を使います。
違和感を感じる方は頭の中で変換してくださいませ。
すると
F1( σ + jω)
= 1 / ( σ + jω )
= ( σ - jω ) / ( σ^2 + ω^2 )
= { σ / ( σ^2 + ω^2 ) }
- j { ω / ( σ^2 + ω^2 ) }
になります。
実部をRe((F1(σ + jω))、虚部をIm((F1(σ + jω)) とおいて
Re((F1(σ + jω)) = σ / ( σ^2 + ω^2 )
Im((F1(σ + jω)) = -{ω / ( σ^2 + ω^2 )}
となり、
この右辺を
-1 <= σ <= 1 、 -1 <= ω <= 1の範囲で
計算した値をプロットしたものがグラフになります。
余談ですが
とある友人から「理系のひとは、何でもすぐにグラフにしたがる。」
と言われたことがあります。
直観的でわかりやすいから、まあ、い~んじゃない。 (^.^)
そういう習性の生き物ということですかね。
余談はここまで。
さて、F1(s)=1/s のグラフ化はできたので、次は
F2(s)= 1/( s + (1/T2) )
と
F3(s)= 1/( s - (1/T3) )
なのですが、
双曲線関数の例を見てもわかるように
原点から実軸σ方向に - (1/T2) だけ
若しくは + (1/T3) だけ
移動すればいいことがわかります。
ここまででわかることは、
3種類の時間関数をラプラス変換すると、
時間変化の挙動(一定、指数関数的減少、増加)によって、
複素平面の極の位置が変わることですね。
時定数が変わると極の位置がどう変わるかを見てみます。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230222/20/abcd-zzz-1234/d8/37/p/o0481029215246569711.png?caw=800)
図4 複素平面上の極
グラフの図4は3次元のものを真上から見て2次元で表しています。
横軸は実部σ、縦軸は虚部jωです。
①~③の青色の×印が3種類の時間関数に対応した極の位置です。
①の極は原点にあり、
②の極はσ=-1/T2で負、
③の極はσ=1/T3で正です。
全て実軸上(jω=0)に存在しています。
時定数T2について考えます。
T2を小さな値にすると
(時間関数がより短時間で0に収束することを意味します)
-1/T2は大きくなり、
極端に小さく
つまりT2→0の極限では-1/T2 → -∞になりますね。
逆にT2を大きくすると
(時間関数がより長いで0に収束することを意味します)
極限ではT2→∞のとき-1/T2 → 0 になって原点に移動し、
①と同じ時間変化がない一定の時間信号になります。
時定数T3についても考え方は同じで
T3を小さくすると
(時間関数がより短時間で今度は増加です。)
極の位置は 1/T3 → ∞ に移動し、
T3を大きくすると 1/T3 → 0 になって原点に移動します。
このように、
2次元のs平面の左半平面に極が存在すると
時間関数は0に収束し、
右半平面に存在すれば無限大に発散します。
若干話が飛躍しますが)、
自動制御では時間信号が無限大に発散することは好ましくなく
0に収束させるために、
右半平面に極が来ないように設計を行います。
もちろん、
目的が別の場合、意図的に右半平面に極を置くこともあり、
例えば、アナログ発振回路とかはその一例です。
今までは実部だけしか現れていませんでしたが、
虚部が現れる時間関数としてsinやcosの周期関数があります。
三角関数を扱うときには世界一美しい公式といわれる
オイラーの公式を使います。
一見何の関係もなさそうな
指数関数、複素数、三角関数を結びつける公式です。
この公式があればこそすっきりした大系が出来たり、
簡単な計算で求める答えが得られる、
まさに世界一といわれるだけはありますね。
exp(jθ) = cosθ + jsinθ
ここで、θ=ω0・tと時間の関数にすると
(ω0は角周波数 rad/秒)
exp(jω0・t) = cos(ω0・t) + jsin(ω0・t)
になります。
求めたいものは
cos(ω0・t) 及びsin(ω0・t)のラプラス変換なのですか、
オイラーの公式を使うことで簡単に求められますね。
exp(jω0・t)は複素数で現実世界には存在しないのですが、
複素関数として定義通りにラプラス変換してsの関数として表し、
その実部、虚部と
オイラーの公式を定義通りにラプラス変換した式の実部、虚部を
比較すれば結果が得られます。
**誤記がありましたので、訂正しました。**
結果は
Fcos(s) =ω0 s / ( s^2 + (ω0)^2 )
Fsin(s) = s w0 / ( s^2 + (ω0)^2 )
ただし、Fcos(s)及びFsin(s)は
cos及びsinの時間関数をラプラス変換したもので、
sの関数なので複素数になります。
ここでFsin(s) Fcos(s)はs=0で0になる、いわゆるゼロ点があります
これはsinとcosの90°の位相差からくるものだと思うのですが、
細かいことは理解していないので省略します。
2次元の複素平面上に3次元表示をして、
極を出せばいいのですが、
今はやや根性がなくやる気がでません。 (^_^;)
なので、ザックリ結果だけ。
sin及びcosの時間周期関数 f(t)=f(t+T) は、
s平面の虚軸上(実軸=0)に複素共役の±ω0の二つの極が現れます。
これまで見てきた実軸上の極の動きとを重ねて考えると、
虚軸上の極が左半平面に移動すれば、
時間関数は周期的に振動しながら減衰していき、
虚軸上の極が右半平面に移動すれば、
時間関数は周期的に振動しながら増加する
パターンになりそうですね。
調べていくと実際にそうなりますよ。
ずっと極に注目して書いてきましたが、
これはラプラス変換が複素関数論と密接な関係があるためです。
と書いてはみたものの複素関数論はサラーっと通過しただけで
殆ど理解していないのが現状。
これはこれからですね。
ここで一旦定義式に戻ります。
∞
F(s)=∫f(t)exp(-st)dt
0
及び
s = σ + jω
でした。
σ=0 つまり、実軸を0(時間的な変化がない状態)にして、
s=jωとして虚軸の振る舞いを考えれば
ラプラス変換は
∞
F(jω)=∫f(t)exp(-jωt)dt
0
となります。
積分範囲と係数の違いはありますが、
この式はフーリエ変換ですね。
ということで、
フーリエ変換は
ラプラス変換を定常状態(=系の過渡的な状態を除外したもの)に
着目したものとも言えそうです。
今のところ理解しているのはこれくらいです。
複素関数論が多少見えてくれば少しは違うのでしょうかねえ?
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最後まで読んでいただいた方
お疲れ様でした。 <(_ _)>