私は人の体に触れるのが苦手だ。

10月の京都マスターで仁さんが宴会会場に来てくださった時、みんなが仁さんと握手やハイタッチをするのを遠巻きに見ていた。

仁さんと手が触れると思うと気が引けて、せっかくのチャンスだったのに勇気が出せなかった。



マスター最終日、この日は文字通りたくさんの人に「触れる」日となった。

私は幸運にもアシスタントのかこちゃんに花束を渡すことになり、その後握手をした。

私の手は緊張で汗ばんでいて、不快感を与えてしまうような気がして、そんな手で握手することが申し訳なく思えた。

おずおずと遠慮がちにかこちゃんの手を握り、早々に手を離そうとしたけど、かこちゃんはずっと握っていてくれて言葉をかけてくれた。

やっぱりおずおずとだったけど、もう一度左手も添えてかこちゃんの手を握り返した。

かこちゃんの気持ちを言葉と手で伝えてもらえたようで嬉しかった。

それと同時に、やっぱり私は自分のことを人の体に触れてはいけない汚れた人だと思っていることを感じた。



サトーさんから認定書を頂いた時、お礼を言うことも握手をすることもなく逃げるように席に戻ってしまった。

みんなが認定書をもらった後サトーさんと握手してもらうのを見て落ち着かない気持ちになった。

どうしようか散々迷った挙句、認定書にサインをもらう時に勇気を出して握手をしてもらった。

ドキドキしながらやっぱり遠慮がちに握手をした。

握手は温もりが伝わる。
心が温かくなる感じ。



マスター終了後に近くにいたよしみちゃんが、私が人に触れるのが苦手なのを知っていたようで「ハグしてあげる」と言って私をぎゅーっと抱きしめてくれた。

それも長い時間。

ハグなんてしたことなかったから、初めはびっくりして、私なんかをハグしてもらうのは申し訳ないとも思った。

ハグしてもらいながら、包み込んでくれるような安心感を感じて、心が震えて、気がついたら大粒の涙を流していた。

体が反応していた。

こんなに泣いたのは久しぶりだった。



少し時間が経って気付いた。

私は寂しかったんだ。

ずっと独りが苦にならない、むしろ独りが他人に気を使わなくて済むから楽だと思っていた。

独りでいるのが向いているのだとさえ思っていた。

胸に「寂しい」気持ちがずっと居たのに気付いてあげられなかった。

よしみちゃんが抱きしめてくれたことで、本当は人の温かさに触れたかったことがわかった。

学校や仕事で毎日人がいるところに出かけていたけれど、ずっと心を閉じてきたから友達の作り方もわからないまま今に至っている。

もしかしたら、人と関わると嬉しくて泣いてしまうから怖くて関われないという気持ちもあるのかもしれない。

自分自身に本当にかわいそうなことをし続けていた。

「これからは自分に寂しい思いをさせない。」
「これからは自分を除け者にしない。」

そう決めた。

そのために今は怖いままでも人と関わって行こうと思う。

丸1日経つのに思い出すとまだ涙が出てくる。

私の心は「寂しい」に気付いたことを喜んでいるのかもしれない。