「あ?なんで窓なんだよ。」

少年は黙って窓を開けた。

「アリーブ。こっち。」

呼びかけると、すぐに入ってきて、少年に八つ当たりした。

「全く!貴方みたいな鈍感は始めて見たわ!!しかも途中で私が何て言おうとしてるか考えるの諦めたでしょう!」

ひとしきりしゃべると、アリーブは、コロッと態度を変えて、挨拶した。

「私、この鈍感男のパートナーの妖精、アリーブと言います。以後、お見知り置きを。」

そして優雅に礼をした。

なんていう変わり身だ。

少年は呆れるを通り越して、感心していた。

呆然としている声の主に、アリーブは言った。

「宜しければ、フンダーに会わせていただけません?」
「そこに座れ。」

形の良い、綺麗な木質のテーブルと椅子。

命じられたように少年は座った。

「んで。なんで物を盗もうとした?」

だるそうに頬杖をついて言った。

「あのー…その前にお名前を教えてもらえませ…」

「話を逸らすな。」

やはり手厳しい。

「はぁ…。ですから…僕は違…」

「口答え無効。」

冷ややかに言われ、少年は大弱りの様子だ。

「じゃあどうすれば疑いが晴れるんですか。」

自棄になって少年は言った。

「証人でもいねえのかよ?」

少年はぎくりとした。

「お前、外で誰かと喋ってたろ。」

益々ぎくりとする。

「どうした。さっさとしねえと、泥棒確定だぞ?」

もうばれてるのなら仕方ない。
少年は覚悟を決めた。

「わかりました。窓をあけてもらえます?」
アリーブは、焦っていた。

そして、少年がひどく鈍感なのにもいらつきを感じていた。

あの女に姿を見られても、もう構わなかった。

むしろ、姿を発見されたほうが都合がよい。

何とかして家に入らなければならないが、どこもかしこも、ご丁寧に鍵がかかっていた。


この家には、アリーブの仲間である、創作の妖精、フンダーが居る。

アリーブは確信していた。

何とかして話さなければならない。


もどかしさばかりが頭をめぐっていた。