「…あ、アリーブ。久しぶり。」

その能天気な言葉に、一同は不意をつかれ、笑いの波につつまれた。

そしてアリーブと少年は、泊めてもらえることになり、夕食の場は華やいだ。

事情は全て話してあり、もう話し合うべきことは、これからの事だけである。

これからの旅には、フンダーは必要不可欠だ。

しかし、肝心のフンダーはと言うと。

「やだ。」

あまりにも率直な言い方に、アリーブと少年は、全身の力が抜けるようだった。

「な…なんでよ。フンダー!みんなに会いたくないの!?」

アリーブが慌てて尋ねたが、それに対するフンダーの返答は、ゆったりしたものだった。
「フ…」

「あ!?お前何寝てんだよ!?あたしが散々呼んだのに!!」
アリーブがフンダーに呼びかけようとした声は、マンフールの罵声でかき消されてしまった。
怒鳴られたフンダーも負けていない。

「はあ!?妖精っていうものは何かと疲れるんですー!っていうか私は三度の飯より寝るのが好きなんですー!っていうか人間のまえに姿見せちゃいけないんですー!」

急に指さされた少年は、びくっと肩をすくませた。

「や…野獣のようなペアだ…。」

と、あまりの勢いに、思わず感想を口に出していた。

しかしこれが二人を怒らせた。
「なんか言ったか!?」

と、当然のごとく、ほえられた。

こっちを向いたフンダーは、何かに気が付いたように、こっちに、視線を釘付けにした。
「…もしかして…お前も妖精なのか?」

アリーブは一つ頷いて言った。
「フンダーは、私の仲間です。」

あの声の主は、それを聞くと、笑って言った。

「なんだ、そうだったのか。悪い。泥棒と勘違いしちまってよ。あたしはマンフール。こうみえても、物作りの職人だ。ちょっと待ってろよ。あいつ探してくるから」

そう言い残すと、フンダーの名を大声で叫びながら、家の中を歩き回り始めた。

マンフールの声があまりにも大きいので、残された二人は苦笑いするしかなかった。

その時、ようやく声が聞こえた。

「あー…。眠っ。全く何かなー…、マンフールは。せっかくいいゆめ見てたのに…。」


そうぶつぶつ言いながら二人の前に現れた小さな妖精こそ、かの創作の妖精、フンダーであった。